©ペス山ポピー/やわらかスピリッツ/小学館

トランスジェンダーの著者が“セクハラ被害”を受けて味わった壮絶すぎる「地獄の苦しみ」

2021年7月30日、話題のジェンダー・エッセイコミック『女(じぶん)の体をゆるすまで』(小学館)の上下巻が発売となった。本作を手掛けるのは、自身の性的嗜好と初恋を描いたエッセイ『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました(通称:ボコ恋)』(新潮社)でデビューした漫画家・ぺス山ポピーさん。

著者のペス山ポピーさん

トランスジェンダー(Xジェンダー/ノンバイナリー)であるぺス山さんの人生を通して浮き彫りになっていく、様々な社会問題が描かれる本作。中でも太い軸となるのは、ジェンダーにまつわる違和感(性別違和)と理不尽(性差別)だ。

重たいテーマでありながら、どこかユーモア溢れる筆致が印象的なぺス山さんにインタビューを実施。漫画家になった経緯や数あるジャンルの中でなぜエッセイ漫画を描くに至ったのか、漫画家・ぺス山ポピーを形作った原体験。新作『女の体をゆるすまで』の誕生前や制作過程、読者の反応に触れて変化した心境。そして、今後の漫画家としての歩みや描きたい題材など、『女の体をゆるすまで』を描き終えた今思うことを赤裸々に語ってもらった。

【第1回】はこちら→<「女の体に生まれたせいで…」トランスジェンダーでセクハラ被害者の著者が語った“想い”と“苦しみ”>

 

『女の体をゆるすまで』誕生~制作

――『女の体をゆるすまで』第4話では担当編集のチル林さんと出会った当初「子どもの頃のエッセイなら描けると思う」と描かれていましたが、そこから『女の体をゆるすまで』の形に至るまではどれくらいの時間を要したのでしょうか。

ぺス山 チル林さんと出会ってから1~2年は何を描こうかずっと話していました。子どもの頃のエッセイについては、1話は描けるけどその後の修正はできないし2話以降が描けない。それは、今の自分と幼少期の自分の間にセクハラというトラウマが挟まっているからだったんですけど。チル林さんに言えなかったので、一度子どもの頃のエッセイを描くのはやめて、ジャーナリズム的なテーマで漫画を描こうかとなりました。

『女の体をゆるすまで』第4話より ©ペス山ポピー/やわらかスピリッツ/小学館

――具体的にどういったテーマで?

ぺス山 以前、元少年Aの『絶歌』を読んでグーっとのめり込む感覚があって、そんな自分に対する嫌悪感もあった。私はマゾヒズムって自分に対するサディズムなのではないかと思うんですけど、万が一私がサドな人間だった場合は人を殺していたのかなと考えたんですよ。それについてすごく描きたいと思っていました。だから、そういった気持ちが分かるような人に取材をして、漫画を描きたいなと。取材したい人からNGが出てダメになってしまいましたけどね。

あとはお悩み相談を漫画にする案もありましたが、悩みに答えられる精神状態ではなかったので、それもやめました(笑)。結局どれも、人を通して自分のことを描きたかったんだと思います。

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