1993年、パリコレにモデルとして参加して以来、モデル活動に、執筆や講演活動にとフル回転。常に前向きかつフェアなメッセージと笑顔で、多くの人を元気づけているアン ミカさん。なぜアン ミカさんは、いつもポジティブに輝いているのでしょうか。アン ミカさんが今のアン ミカさんになった秘密を、「言葉」をキーワードにし、その言葉にまつわるエピソードをお聞きして紐解く本連載。読むだけで心がちょっとラクになる、ビタミンのようなメッセージを受け取ってください。

連載第7回で愛する夫テディさんとの出会いについて教えてくれたアン ミカさん.。テディさんことセオドール・ミラーさんは制作会社を経営するアメリカ人。知人主催のゴルフで会った最初の言葉に「否定された?」と驚いたアン ミカさんでしたが、実は相性がぴったり。アン ミカさんは一瞬「結婚するかも」と思ったといいます。連載8回では、さらにおふたりが近づいていくまでと、アン ミカさんが夫のテディさんから受け取った「言葉」についてお聞きします。心に留めている31個の言葉をまとめた、『ポジティブ日めくりカレンダー 毎日アン ミカ』を発売したアン ミカさん。このカレンダーにもテディさんから贈られた言葉が含まれているそうです。

アン ミカさんがインスタグラムにアップした夫のテディさんとのツーショット。仲の良さが画面から溢れてきそうです 写真アン ミカさん公式インスタグラム「ahnmikaofficial」より
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1ヵ月後、誕生日会で彼と再会

当時はまだ、LINEなどもない時代。そもそもテディはクライアントに当たる人ですから、連絡の取り方を間違えると大変なことになるため、気を使ってしまい、こちらからは連絡できないでいました。
一瞬【結婚するかも】とは思いましたが、お互いに何もしなかったら、そのまま終わってしまうような流れだったんです。

しかし1ヶ月後、同じゴルフチームだった人のお誕生日会に二人がそれぞれに呼ばれ、彼と再び顔を合わせることに。

当日、私は得意の書道で、ちょっとした心ばかりのギフトを作り、再会を祝うため参加者全員にプレゼントしたところ、それを彼がものすごく気に入ってくれたのです。もともと彼のお母様は、ハーバード大学の絵のメンター(指導者)で、油絵の先生。その影響で彼も絵を描きますし、ずっと「墨絵を習いたい」と思っていたのだとか。

芸術の趣味が合うことも分かった上に、彼は趣味としてトライアスロンをやっていたため、フルマラソン経験者の私とは「ホノルルを走ったことがあるよ」と大盛り上がり。普段のマラソンコースも同じだったので、「今度、家の近所を一緒に走ろうか?」という話になりました。

価値観や趣味の重なりがどんどん増えていく…Photo by iStock

価値観は似ていたけれど、物言いで揉めたことも

彼が「きみは時速何キロで走るの?」と訊いてきたので、私が「ゆっくり7からアップして、8.5くらいかな?」と答えると、「あ、スピードが合わないや。じゃあいいです。お互いに無理して走るのはよくないのでやめましょう」と、あっさり断られたんです! 1ヵ月後にやっと会えて、二人だけの約束という次のステップに進むかもしれなかったのに【走るスピードが違うからデートを断るって、何のこっちゃ!】と、彼の態度にビックリしましたが、一方で、彼の【無理してまで相手に合わせないし、異性に焦って動かない】と言うスタンスが、信頼できるし最高に面白い! と感じたのです。

後になって分かったのですが、スピードを互いの国の単位で考えていたので、実は意外とスピードは合うほうだったんです!

しかもお互いに、友達を紹介して盛り上がるのも好きだということが判明し、さっそく彼が屋形船を予約。それぞれの友達を招き、全員で浴衣を来て、大いに船上パーティを楽しみました。この頃には楽しいと感じる事や、嫌なことの価値観が似ていることがわかり、2人の気持ちもかなり近づいていたと思います。

ただ、いくら日本語がペラペラでも、彼はアメリカ人です。文法を英語のまま日本語にする感覚で話すことがあるため、イエス、ノーが先に来ることがあり、それがキツイ物言いに聞こえてしまうので、そこは互いに良く話し合いましたね。
例えば【いいえ、そうは僕は思わないよ。なぜならば……】という言い方は、とても合理的な表現である反面、日本に於いてはイエス・ノーを先に言ってしまうと、言われた方は【断られた!否定された!】と、傷ついてしまったり、拒絶反応を示してしまったりすることも……。

ちなみに、女性が男性に話をするときに、意見が欲しい時と、ただ聞いて欲しい時ってないですか?
ただ聞いて欲しいだけの時でも【それは違うと思うよ。なぜかと言うと……】と始められると、【あーまた始まった!一生懸命向き合ってくれてありがたいけど、うーん……】と面倒になってしまうことも。

しかし、付き合いも含めて10年経った今では、その辺りは互いに気になったら指摘し合い、表現方法の違いは性格の部分もあると理解し、上手くいってます。

もちろん逆のケースで、彼がイライラすることもあったと思いますが、やはり人は文化や性格の違いを受け入れ理解してからが、面白いのだと実感しました。

撮影/大坪尚人

「具体的な数字は口にしないほうがいいよ」

彼が正直にものを言うところは、裏を返すと嘘が無いということでもあります。そんな彼が、特に許せないのが数字の間違い。以前、ある社長とゴルフに行った際、その人が「私が持っている〇〇は、世界で〇番目の長さで」とちょっとした自慢を始めたことがありました。私は場が楽しくなるのなら”へぇ~すごいですね~”と言えるタイプなのですが、テディは【違いますよ。○番目はアメリカの〇〇なはずです】とバッサリ。あくまで悪気はなく【あの人が間違えた情報で恥をかくことを見過ごしたくない】と言う正義感からだったんですが……。【日本では、本当のことだったとしても、人前でその人を否定する感じだと相手に恥をかかせる場合もあるから、言う場面を考えよう!】と提案。

今では、直接本人に言う前に自分がその場で間違えていないのかを謙虚に再確認したりと、日本の文化や感覚を大切に、柔軟に対応しています(笑)。
そんな旦那様は、自分にも人にも嘘がない、心から信頼できる人です。

そんな彼によく言われ有難いことが、【数字というデータものは、専門家でもない限り、口にして間違えてしまうと、誰かが責任を取り謝罪しなければならない信頼問題に関わる。だから、具体的な数字はできるだけ口にしない方が良いよ】ということ。
私は自分でも自覚があるのですが、おっちょこちょいで数字をよく間違えるのです。韓国と日本では年齢の数え方が違うというのもありますが、たまに自分の年齢すら間違えてしまうことも(笑)。なので、彼の正直さやストレートさに困ることもありながらも、彼の生真面目な性格に、実はとっても助けられています。

いずれにしても、生まれ育った国も環境も違う2人が出会ったのだから、考え方が違うのは当たり前。その違いを面白がりながら理解を深め、今年結婚10年目を迎えますが、ラブラブは増していくばかりです(笑)。疑問に思ったことは話し合い、すり合わせていくのが結婚であり、醍醐味なのかもしれませんね。

衣装協力/ADORE  abiste 
スタイリング/加藤万紀子  ヘアメイク/ K.Furumoto【&’s management】
構成・文/上田恵子