「国内ワクチンパスポート」導入できない日本が被る“これだけ”の不利益

感染防止と経済活動、海外にさらに遅れ
野口 悠紀雄 プロフィール

日本で国内ワクチンパスポートは発行できない

日本では、上記のようなプライバシー問題についての合意が成立したとしても、技術的に国内ワクチンパスポートを発行できるかどうかについて、大きな疑問がある。

海外旅行のためのワクチンパスポートは、旅券とともに申請するようになっている。したがってそのワクチンパスポートを持つ人は、旅券を提示することによって、接種証明書が確かに本人のものであることを証明できる。

では、これと同じことを、国内においてできるだろうか? ワクチンを接種したときに用いた接種券を見せれば、それで良いと考えれられるかもしれない。しかし、そういうわけにはいかない。

なぜなら、接種券に書かれている人間とその証明書を見せている人間が同一人物であるという証明を、できない場合があるからだ。運転免許証や旅券、またはマイナンバーカードには、写真付きで住所氏名が記されているから、それを接種済み証と共に見せれば、本人証明ができる。

しかし、これらを持っていない人は、その接種済み証が自分のものであることを、第三者に対して証明できない。健康保険証はすべての国民が持っているが、ここには写真がないので、本人のものかどうか証明ができない。ワクチン接種の際に健康保険証によって本人確認をした場合に、接種済み証にその番号が記載されていれば証明ができるが、そのようなことは行なっていない。

実は、この問題は、接種の際にもあったことだ。接種券に記載されている住所氏名と同じ住所氏名が記載してある健康保険証を持っていけば、記載してある年齢と見かけが大きく離れていない限りは、本人であると認められ、本人でなくても接種を受けられたはずだ。

日本における本人確認とは、この程度のものなのだ。

日本政府が国内のワクチンパスポートを発行する予定はないとしているのは、プライバシー保護というような根源的理由のためではなく、単に技術的に発行できないという理由によるのではないだろうか?

 


仮にすべての国民がマイナンバーカードを持ち、ワクチン接種における本人確認をこれによって行なったとしたら、ワクチンパスポートは簡単に作れるはずだ。その場合は、接種券にマイナンバーが記載されているから、それとマイナンバーカードを見せれば簡単に本人証明ができる。また、デジタル証明書も簡単に構築できる。

日本におけるデジタル化の遅れが、ここでもコロナに対する戦力を削ぐ結果となっている。

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