わたしは産婦人科医なので、HPVワクチンの説明をする機会も多いのですが、「なんとなく不安」な人というのは、正確な情報が届いていないため判断材料がない、もしくは、自分で調べてもネットにはあまりに多くの情報が氾濫しており、どれを信じてよいか分からない(往々にして不安な情報の方が印象に残ります)ため、判断しきれないまま接種をためらっています。

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そういう人の中には、かかりつけ医に質問し、正確な医学情報に基づいた説明を受けることで不安が払拭される人もいますが、医師に質問する機会がない人もいます。

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接種率が70%から0.6%に落ちたHPVワクチン

ここで少し、HPVワクチンについて簡単に説明します。

・HPVワクチンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するためのワクチン

・HPVは子宮頸がんや中咽頭がん、肛門がんなど、いくつかのがんや尖圭コンジローマの原因となるウイルス

・子宮頸がんは30代後半から40代に多く、その9割が子宮摘出などの治療が必要となるため、ワクチンとがん検診による予防が非常に重要

・2013年にHPVワクチンは定期予防接種化され、小6~高1の女子は無料で接種できる

・定期予防接種化された直後、副反応を疑う症状が大きく報道され、厚労省はいったん積極的勧奨を差し控えた

・その後の国内外の研究により、安全性とさらなる有効性のエビデンスが蓄積されているにもかかわらず、積極的勧奨は差し控えられたまま

・当初約70%あった接種率が、積極的勧奨差し控えにより0.6%にまで低下し丸8年が経過

その間、通知が届かなかったためにHPVワクチンを無料で接種できることを知らずに接種の機会を逃してしまった人も多数います。
ようやく2020年10月に自治体から通知をだすように厚労省が通達を出したことで、個別通知を送る自治体が増え、少しずつ接種者数が増えてきていますが、世界的にみたらまだまだ接種率は非常に低いです。