「新型コロナワクチンも、HPVワクチンのようにあとから危険と分かったらと心配」

先日、高校で子宮頸がんなどを予防するためのHPVワクチンに関する授業を行った際、事前のアンケートである生徒のそんなコメントを目にしたという、産婦人科専門医の稲葉可奈子さん。この生徒に限らず、誤解によりワクチンに対して不安を抱いている若者は少なくないという。新型コロナワクチンとHPVワクチンに関する知識を広める活動を行う稲葉さんに、日本の若い世代に「ワクチン不信」が起こる背景について解説してもらった。※以下、稲葉さんによる寄稿。

【稲葉 可奈子(いなば かなこ) プロフィール】
産婦人科専門医・医学博士。みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト代表、コロワくんサポーターズ、予防医療普及協会顧問、メディカルフェムテックコンソーシアム副代表。京都大学医学部卒業後、東京大学大学院で博士号取得。現在は関東中央病院産婦人科勤務、4児の母。 子宮頸がんの予防や性教育など、正しい知識の効果的な発信を模索中。

若い世代ほどワクチン接種に消極的

新型コロナウイルス感染症の第5波真っただ中ですが、新型コロナワクチンの接種も着々と進んできています。2021年8月2日時点で5,116万人以上、人口のおよそ4割が1回目の接種を終えています(首相官邸の情報より)。ワクチンの供給不足が報じられていますが、それはワクチン接種が順調に進んでいることの裏返しでもあります。

自粛生活に限界を迎えつつある中で、感染を抑えつつ生活を元に戻していくための希望の光がワクチンです。医療従事者からはじまったワクチン接種は、高齢者や基礎疾患のある人に続き、基礎疾患のない若い世代へと接種が進んできています。

〔PHOTO〕Getty Images

一方で、いくつかの研究や調査(※1)により、若い世代ほどコロナワクチンを接種したくない割合が多いことが明らかとなっています。また、30〜40代を主とする1,438人の男女を対象にした意識調査(※2)によると、自身の子どもへのワクチン接種について17%が接種させたくない、29%はわからない、と回答しています。自身や子どもへの新型コロナワクチン接種をためらう理由として多いのは、いずれの調査においても「副反応や安全性への懸念」です。

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現状はワクチンの需要に供給が追いついておらず、接種したい人がまだ接種しきれていない状況ですが、接種が先行している他国の状況をみても、いずれ接種率が頭打ちとなることが予想されます。
接種しない人の中には、強い信念をもって「接種したくない」という人と、「よくわからないしなんとなく不安なのでまだ様子をみたい」と接種を躊躇される人とがいます。

この傾向は、新型コロナワクチンに限った話ではなく、HPVワクチンでも同様です。