2021.08.04
# 企業・経営

「EVシフト」がここへきて急加速、いよいよ「日本の雇用」が決定的に失われていく

加谷 珪一 プロフィール

国内企業が開発を行い、製造をアジアに委託するというのは、IT業界や電機業界で全面的に採用されてきた手法であり、これによって国内の産業空洞化が一気に進んだことは記憶に新しい。まったく同じ事が自動車産業にも起ころうとしているのだが、そうした危機感は薄い。

EVバスなど大型車両の分野では中国メーカーが圧倒的な競争力を持っており、日本のバス会社は次々と中国製のバスを導入している。このまま中国製バスのシェアが高まれば、当然、製造に関連する国内の雇用は失われてしまうだろう。

 

目に見えた時にはすでに遅い

乗用車の分野も安穏としていられない。EVにおける最大の欠点だった価格の問題がほぼクリアされつつあり、最新モデルではガソリン車と同等か、安い製品が出てきた。

日常的に長距離運転する一部の利用者以外は、基本的に週末にしかクルマに乗らないので、日本における自動車の平均走行距離は諸外国の半分から3分の2程度しかない。諸外国では長距離運転も多いので、充電ステーションの設置が重要課題となっているが、日本ではそれほどのボトルネックにはならないだろう。加えて日本の場合、自動車保有世帯の7割が戸建て住宅に住んでいるので、基本的に自宅で充電ができる。ガソリンスタンドに行く手間が省けるので、EVを選択する利用者は多いはずだ。

市場のシフトというのは、通常、水面下で進行し、多くの人がそれを認識した時には、すでに勝負は付いている。誰の目にもEVシフトが明らかになったタイミングでは、多数の雇用が危機に瀕している可能性が高い。雇用を何よりも重視する日本社会において、EVシフトに対するスタンスがあまりにも悠長過ぎると感じるのは筆者だけだろうか。

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