西浦博教授が描く「私が最も恐れ、怯えているシナリオ」の“中身”

デルタ株はどれだけ危ないのか
西浦 博 プロフィール

図1は報告日別の感染者数について、先週の同じ曜日との比を示している。これは実効再生産数から遠くない値を与えるが、比自体が時刻と共に増加しているのがわかる。現在の第5波では感染性が高くなりながら流行が拡大したのである。

図1(筆者作成)
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実効再生産数が増えるインパクトは日に日に明確になっている。7月前半までは東京都の実効再生産数は1.2程度だった。COVID-19は概ね5日ごとに伝播のサイクルが回る。すると、最初の日に10人だった新規感染者は、5日後に12人になり、10日後に14.4人、15日後に17.3人、20日後に20.7人、25日後に24.9人、30日後に29.9人と増えていく。これでも増加スピードが十分に速いが、まだ保健所の電話対応が追いつく程度だとは思う。

しかし、実効再生産数が現在までに2.0程度に上がった。このインパクトはどの程度だろうか。最初の日の新規感染者数が同様に10人だとすると、5日後には20人、10日後に40人、15日後に80人、20日後に160人、25日後に320人、30日後に640人、と増えてしまう。一気に根性論では対処できないオーダーの感染者数になってしまうのである。

この現象が、7月の緊急事態宣言下で当たり前かのように起こってしまったのである。

 

理論疫学者が怯える景色

感染性が高くなるということは感染者数の増え方のスピードが増し、公衆衛生や医療現場に対する負荷が高くなる、というだけではない。私が最も怯えていることについて皆さんと共有しておきたい。

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