西浦博教授が描く「私が最も恐れ、怯えているシナリオ」の“中身”

デルタ株はどれだけ危ないのか
西浦 博 プロフィール

デルタ株の感染性でわかっていること

デルタ株は従来株や英国由来のアルファ株と比較して2次感染を起こしやすいことが既に広く知られている。1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値を意味する基本再生産数が、デルタ株では従来株と比較して約2倍、アルファ株と比較して約1.5倍と言われている。

その感染性を裏付ける傍証として、デルタ株の患者におけるウイルス量は他のウイルス株と比較して明らかに高いことがわかっている。その影響からか、英国における調査では家庭内においてデルタ株が伝播するリスクは従来株の1.5倍超であることが示されてきた。

感染者情報を集積している限り、いまだ会食機会に伴う患者や十分な予防がない中で屋内で曝露をしてしまった患者が多く、基本的なリスクの高い環境に関する考え方自体は従来株から大転換しなければならないわけではない。

しかし、詳細の行動歴を聞く限り「どう考えても空気感染だろう」という事例が少なからずある。そういったイベントは従来株でも存在したが、その頃は極めて稀な存在であった。それが頻繁に起こることなのかどうか、アセスメントを急がなければならない。

 

7月の緊急事態宣言下で起こっていたこと

6月後半以降、首都圏を皮切りにアルファ株をデルタ株が次第に置き換える現象が見られた。同時期から、北海道大学の伊藤公人教授 とともに、ゲノムデータを見る限り7月には急増があることを予測してきたが、予測している自身でもここまで疫学的に明白に実効再生産数が上昇するのを肌で感じるとは思わなかったと言っても過言ではない。それくらい感染性の加速が明白だった。デルタ株の高い基本再生産数に由来する相対的な感染性の増加が、ぐんぐんと実効再生産数の上昇につながったのである。

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