国のコロナ対策にも助言を続ける西浦博教授

西浦博教授が描く「私が最も恐れ、怯えているシナリオ」の“中身”

デルタ株はどれだけ危ないのか

ここまでの疫学的状況は?

8月2日(月)、首都圏の神奈川県、埼玉県、千葉県と大阪府を対象に緊急事態宣言が発令された。これまでの東京都と沖縄県に加えて、感染者数が過去最多を記録しながら増加を続けていることを受けての判断である。

緊急事態宣言の一方で、流行に対する危機感が薄れていることを強く感じるのは私だけだろうか。若者のみならず中年を含めて成人の感染者数が増加を続けている。医療が逼迫しているのに、オリンピックが開催されている影響か、21時の公共放送のニュースも15分間だけであった。

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これまでの高齢者中心の感染と異なり、50歳代を中心とした入院が目立っている。高齢者は予防接種の直接的効果や医療従事者接種の間接的効果などによって感染者数が著減しており、他方で全体の感染者数が増えたことが影響して、相対的に重症化したり入院を要したりしやすい50歳代の入院者が増えたのである。次いで40歳代が多い。

現状では、これまでよりも死亡者数は少ない。しかし、これはあくまで現状である。感染者数が爆発的に増えると、もちろん死亡者数はこれまでの観察値を遥かに超えることが今後見込まれる。

また、コロナの影響で救急医療と一般外来診療からまず先に逼迫する。救急と外来が逼迫すると、コロナ以外の患者の一般医療が逼迫しはじめてしまう。それによって恐れているのはコロナだけでなくコロナ以外の病気による死亡の増加である。

急性心筋梗塞や脳卒中などの救急に必要時間内に対応することが困難となり、本来救える命が救えない状態がやってくる。そういう変化が本当に短時間で発生した、というのがこの第5波である。

ここから先にどのような流行に発展するのか、その鍵となるのがデルタ株の感染性である。その感染性の影響と流行見通しの考え方について、私が理解していることを皆さんと共有したい。

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