トランスジェンダー女優として、映画や舞台などで活動する真田怜臣(さなだ・れお)さん(32歳)。男性として生まれながら、物心ついた頃から性自認は「女性」であり、22歳のときに性別適合手術を受け、戸籍も女性に変えた。

これまで複数の男性とのお付き合いを経験し、なかには真剣交際に発展し、婚約した男性もいたという。しかし、悩んだ末に自ら婚約を破棄してしまった。「私は、自分の子どもを持ちたいという相手の願いを叶えてあげることが難しい。けれども恋愛をしたいし、家族を持ちたい」。そう語る彼女の心の内を聞いた。

性自認の不一致を自覚してから女優になるまで辿った前編→【22歳で性別適合手術をした女優・真田怜臣の「トランスジェンダーの枠」にハマらない生き方】はこちらをチェック 

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真田怜臣(さなだ・れお)/女優

1989年4月18日生まれ。奈良県出身。大学進学とともに18歳で上京。20歳からレストランシアター「六本木金魚」でダンサーとして踊り始め、5年半センターを務める。26歳のとき女優へ転向し、舞台「美少女戦士セーラームーン」や映画「ミッドナイトスワン」など、話題作に出演。

惹かれるのは、一番に「人間性」を見てくれる人

22歳で性別適合手術を受け、戸籍も変えた真田さんは、「女性として結婚できる選択肢」を手に入れた。さまざまな決断を重ね、女性としての人生を歩んできた彼女は、どんな恋愛観を持っているのだろうか。

「女性の身体に変えても、私は生粋の女性ではない。それは理解しているので、初対面の方に会うときは、男女関係なくトランスジェンダーであることをお伝えしています。本当は、いちいち伝えなくてもいいと思うのですが、今の世間の風潮だと、あとからその事実を知ったとしたら、相手の方が嘘をつかれたような感覚になってしまうだろうなって」

 

事実を伝えると、中には離れていく男性もいるという。

「何も言わず去っていく人もいれば、『あるの? ないの?』とストレートに聞いてきて、『手術をしたからないよ』と言うと、恋愛対象として見る人もいる。けど、それは気持ち悪いと思ってしまいます。トランスジェンダーである事実は関係なく、私の人間性を見て好意を伝えてくださる方に惹かれて、お付き合いすることが多いです」

真田さんいわく、トランスジェンダーの女性は、誰もがそういった類の質問を受けた経験があるのではないかとのこと。純粋に一人の人間としてではなく、「トランスジェンダー」という先入観ありきで見られることに対して、彼女は「是正していきたい」と力強く語った。

「子どもがほしい」と言われ、あきらめた恋愛

真田さんには、忘れられない2つの恋愛があるという。一人は、自分との将来を考え、本音を打ち明けてくれた男性だ。彼は、「怜臣のことがすごく好きで、一緒にいて楽しい。だけど、このままだと『自分の子どもがほしい』という思いは、あきらめなきゃいけなくなる」と苦しい思いを吐露したそうだ。

「その言葉は、けっこうグサッときましたね。これまで不可能なことを可能にしてきたけど、こればかりはどうしようもない。好きならこのまま付き合っていようよと、うやむやにするのは簡単だけど、『子どもがほしい』という、誰もが持つようなあたりまえの願いを私がつぶしていいのかなって。すごく悩んだ結果、お別れしました。久しぶりに人生をあきらめる感覚を思い出しましたね」

この恋愛を通して、真田さんは、自分の存在が相手の両親や親戚、友達にまで影響を与えてしまうことを深く考えるようになった。

「大切な人が、友達に『おまえ、オカマと付き合ってるの?』と言われたり、孫が見られないことで、相手のご両親を悲しませてしまったり。私と付き合うと、大切な人にツラい思いをさせてしまうことがあるんだって思うと、どうしても恋愛に慎重になるし、自信がなくなってしまいます」

考え事があると眠れない日が続くこともあるが、そんな日は好きなマンガをとことん読んで眠くなるまでリラックスするそう 写真/真田さん提供

過去には、2年ほど交際し婚約した男性もいた。結婚して家族を持てるんだと喜びに満ちた一方で、トランスジェンダーであることが背景にあるマリッジブルーにもおそわれたという。

「彼はいいお父さんになるんだろうな、ご両親は悲しんでないかな、などと考えるうちに、どんどん葛藤が深くなってしまって……。彼の未来を変えてしまうことが怖くなり、最終的に『彼は別の人といたほうが幸せになれるはず』と自分を納得させて、逃げてしまいました。どこまで真剣に考えてくれているのだろうって相手を疑う気持ちも出てきてしまって、この時点で、私もうダメだなと思いました」