ビキニ問題と盗撮問題

東京五輪でも、欧州選手権のビキニ問題と同様の、選手たちによる服装への抗議行動が起こった。ドイツ代表の女子体操チームが、女性アスリートに向けられる「性的なまなざし」に抗い、選手自らが「居心地良し」と感じられるユニフォーム(「ユニタード」という足首まで覆うボディースーツ)で登場した。

ドイツ体操女子チームは足首まで覆うユニタードを着用〔PHOTO〕Getty Images

日本を含む体操界はこれまで、盗撮問題に頭を抱えていた。2020年にようやく日本オリンピック委員会(JOC)を中心とする中央競技団体が、盗撮や性的動画の拡散被害の撲滅に向けた共同声明を出し、2021年5月、6月と著作権法違反と名誉毀損の疑いでそれぞれ逮捕者が出た。しかし盗撮や性的画像投稿を直接取り締まる法律は、2021年8月現在、存在していない。

男性アスリートの盗撮および性的画像拡散被害ももちろん存在する。しかし、インターネットに登場する画像を見る限り、あからさまに市場に出回っているのは圧倒的に女性アスリートのものだ。

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盗撮問題が浮上するようになり、多くの元アスリートや現役選手が、それまでの被害経験を訴えるようになった。ずいぶん昔から、女子選手はこの問題に悩んでいたんだなとため息が出る。その一方で、このアスリートの盗撮問題に対してSNS上などで「露出の多いユニフォームを着ている選手の方が悪い」や、「女性スポーツから性的な部分がなくなったら見る価値なし」といった声も聞こえる。特に前者の露出の多いユニフォームを着ている選手の問題とするロジックは、性暴力被害者に対する典型的な二次被害、「そんな格好をしていたお前が悪い」とまるで同じだ。しかも、今回のビーチハンドボールのように露出の多いユニフォームしか選択肢がない場合、「選手が悪い」は通用しない。

では、後者の女性スポーツと性的な価値を結びつける言説に関してはどうだろう。ハンドボール連盟、スポンサー、メディアの共犯関係について先述したように、メディアはしばしば女性アスリートを「美女アスリート」「スマイル」など、男性よりも競技以外の側面で注目しがちだ。女性スポーツ、アスリートが男性と同等の価値で同じ土俵に立てないのは、女性が近代スポーツに登場するようになって以来、ずっと続いている。