「メジャーなサッカー」は男子のこと

男子には、公立高校にもたくさんサッカー部がある。2019年度高体連男子加盟校は4038校、部員は16万2397人。長く積み上げてきた文化があるからだ。

「サッカーイコール、メジャースポーツ。ライセンスや登録もきちんと制度化されていて素晴らしいですねと他競技の人たちから言われます。プロもある。だから女子も進んでいると思っているのかもしれないが、そこは大きな勘違いです。99%、男子の話なんです。それなのに、女子サッカーも持ち上げられちゃったと僕らは勘違いしていないか。卓球やハンドボールはじわじわ競技人口を伸ばしています。それは、指導者や関係者が自分たちはマイナー競技だから、数少ない子どもたちを大事にしようと考えている。でも、女子サッカーは違う。子どもたちを大事にしているか、考え直した方がいい」

越智さんの言うとおりだ。男子よりも先に世界一にはなったけれど、育成段階での女子の普及実態に問題はないだろうか。
例えば、男子は全国高校総体は男子の場合、各都道府県代表が全国に進めるが、女子は九州、関西などのブロック予選を経なければ全国大会には出場できない。つまり出場校の数が男女で異なる。

男女差がある理由は、越智さんによると「地域差がまだまだあるので、都道府県代表で全国大会をやったら大差の試合が出るからやらないほうがいい、ということ」らしい。
各都道府県がすべて10校揃うことが理想らしいが、大会のレギュレーションが「各都道府県1校が全国大会」となれば増えるという考え方もできる。ここは鶏が先か卵が先かと言う話にもなる。

しかし、男子の全国大会も、今でこそ地域差は解消されつつあるが、20、30年前は大差の試合は存在した。文化として育つ過程で消えてゆくものだろう。例えば高校ラグビーなどは県に2校というエリアだってある。ジェンダーバイアス解消が進むプロセスで、そのあたりも注目されてしかるべきだろう。

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「負けられない」と言う前に着手すべきこと

一方で、中学校の普及を活発化するにはどうすべきだろうか。
「簡単な手は、女子の中学校の全国大会でしょう。子どもたちに目の前に目標を設定してあげたい」と越智さんは言う。例えば最初はトーナメントにして、少しずつリーグ戦に移行できればいいのだが。

日本サッカー協会のホームページによると2019年度の協会登録選手数は、全体で87万8072人。女子は2万8598人で、小中学生やシニアなど男子チームに所属する選手は若干名存在するものの、全体の4%強とみられる。サッカーで日本の最高位となるS級コーチ資格の取得者に占める女性は、2020年8月時点で8人と全体のわずか1.6%に過ぎない。

アメリカの女子サッカーの競技人口は160万人と言われる。高校生は38万人だそうだ。日本は約1万人。「負けられない戦い」の前に着手すべきは、ここだろう。

ベスト8は選手たちにとってなにより悔しい結果だったかもしれない。日本代表を誇りに思い、それによって鼓舞することは素晴らしい。しかし、日本では育成の環境がどれだけ整っているのかなど、環境も考える必要がある。ただ、能力のある選手たちだけに責任をおしつけてはならない Photo by Getty Images