テレビでは911のニュースが…

自宅から車で約10分。午後2時頃、イングルウッド病院に着いた。大きな総合病院である。ここの産婦人科には、事件直後の9月、出血で入院したことがあった。なんとなく勝手はわかっていた。

アメリカでは、出産まではかかりつけの主治医の病院に通う。そして、出産時はその主治医の提携先の出産設備のある病院に入院する、という形がどうやら一般的らしい。そのため、普通は出産するまでは入院予定の病院に足を運ばないことも多い。9月の入院は辛いものではあったが、今にして思えば、アメリカでの入院生活初体験をすませておいてよかったのかもしれない。

去年は救急で運ばれたが、今回はドクターが連絡ずみで、わたしの病室はすでに用意されていた。案内された病室ではすみに置かれたテレビから、メモリアルデーのニュースが流れていた。

こちらでは、夫の立会い出産も一般的だが、わたしの場合、夫は不在。その理由は、すでにドクターが説明しておいてくれたらしく、担当の助産婦さんが、「テレビを消しましょうか?」と気遣ってくれた。

「いいえ、だいじょうぶ。このニュースがみたいわ」

と答え、わたしはあの9月11日の映像をあえて見てやろうと意気込んだ。負けてたまるか、という思い。テロですべてを失ったわけじゃない。絶対無事に新しい命を産み出してみせる、という思い。過去2回のお産の時も、「お産って痛いけれど、前向きな痛み。なにかに向かっていくという感じで我慢できちゃうものなのよね」と思ってはいたが、今回はさらに前向きな気持ちでのぞんだ。

2001年9月11日のテロから半年。NYに追悼のブルーライトが灯ることになっていた Photo by Getty Imag