2021.08.06

メイドカフェの「メイド」が悩む、時間外労働としての「SNS労働」

ツイッターが「お仕事」になってしまう
中村 香住 プロフィール

店員が「商品化」される

よって、「メイドカフェ」を一意的に定義するのは難しい。ただし、メイドカフェを一般の飲食店と比べた時にはいくつかの特徴がある。その中でも大きいものとして、通常の飲食店よりも店員個人がフィーチャーされ、場合によっては「商品」化されているという点があるだろう。

どういうことか。メイドカフェでは、ほとんどの場合、各店員が固有のメイド名を有する。それにより、客は各メイドのことを店員という無名の存在としてではなく、「○○さん」という固有名を持った存在として認識する。

そして、多くのメイドカフェでは、通常の飲食店業務に加えて、コミュニケーション業務とでもいうべき業務が生じる。たとえば、店舗によっては、メニューの中に「チェキ撮影」がある場合がある。そのメニューを注文すれば、客はメイドと2ショットチェキを撮影できる。撮影したチェキに、その場でメイドがペンで「落書き」をし、簡単なメッセージを入れてくれることもある。こうした手順の中で、客はメイドをほぼ独占して話せる時間を得られる。

〔PHOTO〕iStock
 

こうしたコミュニケーションに関わるメニューの記載がない店舗の場合にも、多くの店舗ではメイドの手が空いている時には、客と会話をするなどしてコミュニケーションを取ることが推奨される風潮がある(中にはコミュニケーションをあえて積極的には取らないスタンスの店舗もある)。

多くのメイドカフェでこうしたコミュニケーションが重んじられることから、常連客の中には「推し」のメイドを作り、その特定のメイドとのコミュニケーションを主目的としてメイドカフェに通う人もいる(もちろんアイドルで言う「箱推し」のように、特定の推しを作らず、店舗の雰囲気や所属メイド全体の雰囲気が好きで通う人もいる)。

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