ロンドンに住むイラストレーター クラーク志織さんの連載「イギリスのSDGs事情ってどうなのさ?」。イギリスの人たちがSDGsの理念を日々の暮らしにどう取り入れているのかを、パンチの効いた軽妙なタッチのイラストつきでレポート! 笑いと学びのつまったコミックエッセイです。

今回のテーマは、環境、人権などさまざまな側面から大きな社会課題を抱えるファッション産業について。昨年、問題になったイギリスのファストファッションブランドのケースをもとに、今、消費者がアパレル企業に求めることを言及!

人気ブランドの劣悪な生産背景に驚愕......

イギリスではワクチン未接種層を中心に再び感染拡大が進んでいますが、7月19日をフリーダムデーとして、コロナウイルスに関する規制がほぼ全面的に解除されました。
パブはもちろんレストランやカフェから劇場にクラブまで……なんの規制もなしに営業できるようになりました。なんだかちょっと(というかかなり)心配なのですが、長い長いロックダウン生活も終わりつつある開放的な雰囲気も感じたりしています。

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けれど、いくら日常を取り戻しても、パンデミック前の世界には戻れるはずはないと思うのです。イギリスは、EUからの離脱をはじめ「まさかそんな事が起こるはずない」と思っていた出来事が次々と起こり、今まで当たり前すぎて深く考えることのなかった日常のあらゆる側面を見つめ直すフェーズにきているように感じます。

例えば、私たちにとって最も身近なファッション。

去年3月。突如始まったロックダウンにより、多くの人々が混乱に陥っていた最中、イギリスの大手ファストファッションブランド「BOOHOO」が、自宅で快適に仕事ができるようおしゃれなルームウェアをいち早く発売し、大きな利益をあげました。

しかし、この迅速な動きを可能にしたのは、イギリスのレスターという地方都市にある生産工場を、感染対策を怠りながら稼働させ(アルコール消毒も設置せず、スタッフが感染していても出勤させたそうです)、ネズミが駆け回るような衛生状態の悪い環境下でスタッフを働かせていたからという事実が発覚しました(※1)。しかも、最低賃金を大きく下回る酷い待遇で……。さらにスタッフの多くは英語が話せない移民だったこともわかっています。

これはModern Slavery(現代の奴隷制度)と称され、まさか現代のイギリスでこんな事が起ことるとは! と、国民に大きなショックを与えるスキャンダルとなりました。

この無残な行為によりレスターの街は感染爆発、「BOOHOO」の株価は大きく下落。私は「BOOHOO」で買い物をした事はありませんが、SNSをみる限り「インクルーシブで、メンタルヘルスにも気を使い、メイン顧客である女性たちにポジティブなメッセージを発信する」といった前向きな企業イメージを押し出していたし、BLM運動の時もサポートの意を表明していたので、「言ってることとやっている事が真逆じゃん!」と呆れてしまいました。

※1  https://www.theguardian.com/uk-news/2020/jul/11/leicester-factory-put-lives-at-risk-during-coronavirus-lockdown-claims-garment-worker