韓国発の「縦読み漫画」が業界を席捲…「日本式漫画が駆逐される」は本当か?

「ピッコマ」カカオジャパンに直撃取材
飯田 一史 プロフィール

日韓のノウハウを合わせてグローバルなヒット作を

――2021年2月にカカオジャパンがSMARTOON制作を手がける100%子会社「Studio1pic」を韓国にて設立したそうですが、この狙いは?

杉山 今までは韓国のカカオ・エンターテインメントが運営するカカオページと協力してSMARTOON作品を日本向けにローカライズしてピッコマで配信してきましたが、韓国のマンガ制作と日本のマンガ制作の両方のいいところを活かしたSMARTOONを制作するべく、日本の事情をよく知るカカオジャパンの子会社として設立しました。

Studio1picの代表は韓国で出版マンガの雑誌の編集者を経験したのち、SMARTOONでも経験を積んだ方です。私たちが1picに求めているのは、原作を日本で作って作画を韓国で制作、あるいは線画まで韓国でやって日本で着色、ネームまでは韓国で線画は日本で手がけて着色は東南アジア、といったかたちで国際的に分業することで「韓国だけ」「日本だけ」ではないグローバルに通用する作品を作ることです。

――グローバルというと具体的には?

杉山 韓国と日本以外にも台湾、タイやインドネシア、北米、フランスでWEBTOONが読まれていますから、まずはそれらの国・地域の特徴に合わせて展開していきたいと考えています。たとえばフランスでは韓国からローカライズされたものだけでなく、アメリカで作られたSMARTOONが流行っていると聞いています。私たちも東アジア発で世界のさまざまな場所や属性の人たちに向けてマーケティングをし、ヒットを生み出せればと。

 

――日本の出版社やマンガ制作会社、作家発のSMARTOONの動向はどう見ていますか。

杉山 早くから日本作家による作品を制作しているところもありますが、まだまだ「コママンガを作った上で縦に並び替えて着色する」というものも少なくありません。近年のように成熟したクオリティのSMARTOON作品が次々入ってくる状況では、横を縦に組み替えただけのようなものや、縦スクロールならではの演出にあまり意識的ではない作品で対抗するのはハードルが高くなってきています。読者を満足させるにはSMARTOONに合った作品テーマや塗り、演出のノウハウが必要です。

私たちとしては、日本でSMARTOONを作ることを目指していて、そこにカカオが持つノウハウを活かして、さらに日本の出版社とも組んでいきたいと考えていますし、実際に興味を持ってくださる方も増えてきています。

私は3年前まで日本の出版社に勤めていましたが、かつてのマンガ市場では「その作者がどれだけ著名か」「過去の作品がどれだけ売れたか」が新作の制作部数に大きく影響しました。ところがピッコマで配信するSMARTOONでは、日本では誰も知らない作家の作品がいきなり1日で2、3000万円の売上を叩き出して数十万人に読まれるようなことが起こっています。これはとても夢がある話で、既存の日本のマンガ業界にはなかなか馴染まなかったクリエイターや制作会社、出版社さんにも大きなチャンスがあります。

もちろんSMARTOONに限らず、出版マンガやノベルに関しても引き続き日本の出版社さんとともに、もっとたくさんの作品をもっと広い読者に届けられるように、ぜひいっしょにチャレンジしていければと思っています。

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