「ピッコマ」発の人気作

韓国発の「縦読み漫画」が業界を席捲…「日本式漫画が駆逐される」は本当か?

「ピッコマ」カカオジャパンに直撃取材

カカオジャパンが運営する電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」は、2020年7月にApple・Google各ストア上でのカテゴリのセールスNo.1となり、2020年は年間累計でも日本のマンガアプリのトップとなった。

その秘訣のひとつは、同社がSMARTOONと呼ぶフルカラー・縦スクロールマンガ(いわゆるWEBTOON)をアニメーションのように動かしたウェブ広告を大規模に投下し、7月の1か月だけで100万の新規ダウンロードを達成したことにあった(2021年5月までに累計2700万DL、月間閲覧者は約750万)。すでに成熟市場とみられていたマンガアプリだが、まだまだ大規模な新規ユーザー獲得ができると示したこの出来事は、業界に衝撃を与えた。

2021年7月からアプリ内でのオーディオブック配信を始めるなど、常に新たな施策に挑戦し、ユーザーを拡大し続ける「ピッコマ」成長の牽引役となったSMARTOONに関する施策や読者の動向を中心にカカオジャパン ビジネス戦略室室長・杉山由紀子氏に訊いた。

[PHOTO]iStock

マンガ読者自体がまだまだ開拓の余地がある

――ピッコマではカテゴリ別に見るとSMARTOONが特に成長しているそうですが、具体的には?

杉山 2020年のSMARTOONの流通販売総額(GMV)は157億円で前年対比526%(約6.3倍)となりました。直近の四半期販売金額で比較すると2021の1Q(第一四半期)は2020年よりもピッコマ全体で92.6%成長(1.9倍)、SMARTOONは451.8%(5.5倍)、ノベルは359.6%(4.6倍)、私たちが「出版マンガ」と呼んでいる出版社さん提供の日本式のマンガも約2倍の成長となっています。電子書籍サービス各社の動向を調べると他社では前年比1.3倍~1.4倍が平均値でしたので、ピッコマは特に大きく伸びたと言えます。

――SMARTOONが特に伸びた理由は?

杉山 2019年も『俺だけレベルアップな件』などの配信が始まり勢いはありましたが、2020年には毎月20~30作品の新作を継続してローンチしたことで、ある作品を面白いと思った読者が別の作品を連続して読んでいくことが可能になりました。もうひとつの大きな理由は、コロナ禍をきっかけにデジタル化が加速し、スマホの利用がこれまで以上に増えると見越して展開した、既存のマンガ読者以外のライト層に向けたプロモーション施策が成功したことです。

YouTubeやネットのウェブ広告、Twitter、TikTok、Facebookなど、2020年はテレビCMよりもウェブ媒体でSMARTOONを使った広告に注力したことで、ピッコマを新規に使い始めるユーザーが増えました。これまでマンガを読んでいなかった人たちをSMARTOONを入り口にマンガの世界に連れてこられたことで、他のマンガやノベルも含めて全体的な底上げができたと分析しています。

 

――カカオジャパンはピッコマのサービス開始以来、一貫してライトユーザーの開拓を掲げてきましたが、日本では国民的な娯楽とも言えるマンガの読者自体がここに来てまだ増える余地があったとは驚きです。

杉山 ある調査会社がスマホユーザーを対象に「スマホでマンガ、音楽、映画のサービスを使いますか?」と調査したところ、映画と音楽は約7割が使うのに対して、マンガは4割に満たないことがわかりました。実はスマホの利用時にマンガやノベルといった読みものコンテンツを除外している人は意外と多く、だからこそ今回のように新規ユーザーが開拓できました。2020年には日本のマンガ市場の規模が過去最大となりましたが、この実績を踏まえると、まだまだ伸びるチャンスがあると、希望をもっていいのではと思っています。

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