いまだ未知数…発達障害の子どもの通じて、大人の私が「教わったこと」

自閉症がっちゃん(21)邪魔しない

構図や配色はどう決めている?

自閉症アーティストGAKUとして活躍している息子のがっちゃん(現在20歳)。16歳の時に岡本太郎の絵に出会ってから突然絵を描き始め、ニューヨークで個展をしたり、ブランドとコラボ商品を作ったりといったアーティストに成長した。

ものすごい多動症で、子どもの頃から1分として机に座っていられなかった息子が、朝から夕方まで集中して絵を描くようになったのだから、それだけでも父親として感動ものだ。

そんな様子を知って「がっちゃんは絵をどうやって描いているのか?」と、よく質問される。これには多動症以外にもワケがあって、がっちゃんは、重度の知的障害で、言葉も幼稚園レベルなので、理論的に考えて理論的に語ることもしないからだ。そんな彼が何を描くかをどのように決めるのか、構図や色使いをどう決めているのか不思議に思う人がいて当然だ。

 

GAKU(=がっちゃんのアーティスト名)の創作活動をサポートしてくれているのがアートディレクターのココさんだ。私が川崎市で運営するアイムの就労支援「ピカソ・カレッジ」のスタッフで、もともとはファッションのデザイナーだった。

ココさんとがっちゃんがどのように関わり合いながら絵を描いているのか。ココさんがデッサンを決めているのか? ココさんが色を指定しているのか? どこからどこまでががっちゃんなのか?

これらはうちの生徒の保護者からもよく質問される。外から見ていると不思議なことが多いと思うので、今回はがっちゃんがどのように絵を描いているかの話だ。それと同時にアイムではどのように生徒たちの創作活動をディレクションしているのかも説明していく。

これまでの連載はこちら→https://gendai.ismedia.jp/list/author/satonorimasa

すべてに「ノー!」という息子

がっちゃんはどうやって絵を描いているのか? 結論から言えば、「ココさんはがっちゃんに絵を教えていない」が答えだ。

生徒の作品に干渉しないーー。これがアイムの方針でもあって、ココさんの考え方でもある。ココさんは「がっちゃんに絵を教えている」とは考えていない。だから周りから「先生」と呼ばれるのも嫌がっている。

がっちゃんはアメリカ育ちなせいか、それとも持ち前の王様気質なせいか、すべて自分で決めたがる。誰かに決められようものなら、めちゃくちゃ抵抗する。

常に「ノー!!」からはじまり、まるでノー! と言わないと損だと考えているかのようだ。そんながっちゃんだから、当然何を描くのかは毎回自分で決めている。それはキャンバスに座る前から決まっているらしい。なぜなら「キャット、キャット」とかいいながら新しいキャンバスを取り出してくるからだ。

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