事務所と番組やテレビ局の間で問題が発生し、その局の番組全てに出なくなることは現在でもゼロではない。しかし、デビュー当時のBig Hit規模の事務所がメディアとそのような状況になる可能性は低く、また、事務所が小さいという理由だけでマスメディアに出られないということは考えられない。局や番組に出演の営業をできる人脈が全くない場合はあり得るが、そのような事務所はそもそもアイドルを作り育てデビューさせる力はないということだ。実際BTSは2013年6月に発表したデビュー曲「No More Dream」で、韓国でレギュラー放送されている音楽番組のほぼ全てでステージを披露している。

デビュー日に放送された「M COUNTDOWN」で披露した「No More Dream」のステージ

また、BTSが人気になった理由が語られる際に一番聞くのが、SNSをうまく利用したという言葉だろう。デビュー当初のBTSのSNSはメンバー7人全員で投稿するTwitter、ここまでカメラが密着するの? と思うほどリアリティあふれるYouTubeコンテンツ「BANTAN BOM」や、作業室でデビュー初期の不安はじめ、偽りのない喜怒哀楽をカメラに向かって話すメンバーの映像日記のようなVLOGなど、ステージ以外の姿とメンバーの感情がストレートに映し出されたコンテンツが多く、BTSを全く知らない人が見るには少しハードルが高いものだ。

新曲「Permission to Dance」を、それぞれが自分の魅力を際立たせるアイデアを盛り込んで踊る企画。BANGTAN BOMBでは密着映像の他、ファンに喜んでもらうためのコンテンツを日々配信している。

つまり当初から、Big HitはBTSがマスメディアに出られないからSNSを利用したのではなく、TVやMVで見せるべき姿とYouTubeやTwitterで見せたい姿を分け、SNSを活用していたと言える。

-AD-

SNSの発達した今では、好きなYouTuberが話していたから、TikTokやInstagramで偶然流れてきたから、Twitterのトレンドで見たから、など様々なきっかけで新たなSNSアカウントやSNSコンテンツにたどり着くことが多く、TVなどのマスメディアと連動しないSNS発のスターも誕生している。しかし2013年は、韓国芸能界のTwitterフォロワー数1位が300万人台の時代だ。BTSを知らない人がBTSのSNSに辿り着くまでに、いくらコンテンツが面白かったとしても、今より数倍時間がかかったことは想像に難くない。

では今ほどSNSが気軽に利用されていなかった当時、沼の入り口とも言えるSNSにどうやって導いたのか。それは実はとてもシンプルに、BTSの音楽でありパフォーマンスが入り口だったのではないか。つまり、思わず情報を調べたくなるような、高いクオリティの音楽とパフォーマンスをすることがフックとなっていたのではないだろうか。

何かのきっかけでBTSのパフォーマンスを見た人の中で興味を持った数人は、SNSをチェックする。すると膨大で多種多様なコンテンツが存在することに驚き、その個性豊かなコンテンツたちを見て、さらにBTSにハマっていく。そのループが2013年から今でも続いているように思うのだ。