マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

五輪の影響がこんなところに…

東京五輪が開幕し、アスリートたちが日々熱戦を繰り広げている。ワクチンが遅かったのではないか、コロナ対策は甘いのではないかと様々な議論はあるが、どのアスリートの方々も、勝っても負けても、私たちに素晴らしい感動を与えてくれている。心から敬意を表したい。

ただ、実はアスリートとは全く別のところで、動物をめぐる問題も生じていたというのをご存知だろうか。

東京の多くの場所は五輪開催のために新たに開発された。開幕直前からは、交通規制も厳しくなり、IDがなくては通れないところが増えた。セキュリティを考えると当然のことなのだが、そこで影響を受けたのが「外猫たち」だった。

国立競技場もその周辺も、大きく変化した Photo by Getty Images

街には、捨てられたりして外に生きている外猫、つまり「野良猫」たちがいる。地域の住民の方たちの許可を得て、その猫たちに去勢手術をし、エサ遣りをするなどケアをしてくださるボランティアの方々がいる。このボランティアの方々が都とタッグを組み、環境がさらに変わる五輪開催の前に、猫たちがストレスないように、きちんと捕獲をしようという話になっていたという。しかし、IDを持たないボランティアの方が入れない場所が増え、捕獲しきれない猫たちが出てしまったらしい。

一部報道では、まるで都がボランティアの方々を締め出したというような報じられ方もしていたが、都がボランティアの方々とタッグを組んでいる中で、捕獲しきれなかった猫たちが出てしまったということのようだ。この猫たちにはIDを持つ職員が給餌や給水などをしているという。

しかし、なにより一番問題なのは、「野良猫」の存在、そう、「人によって捨てられた猫がいる現実」そのものなのではないだろうか。

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「生き物を飼う」難しさ

そもそも、「生き物を飼う」というのは本当に大変なことだ。人間にとって食事や住む環境が大切なのと同じように、「飼う」のであれば、生き物にとって快適な環境や、健康を保つ食事を用意する必要がある。トイレの世話だってあるし、生き物だから病気になることもある。生き物と暮らすことは素晴らしいことではあるけれど、命を飼う責任の重さを感じていれば、「可愛いから飼おう」と簡単には決断できないだろう。
主人公がまさにそういう局面に向き合った様子が描かれたのが伊藤理佐さんのマンガ『おいピータン!!』3巻1話の「たられば」である。

ちなみに、「おいピータン!!」シリーズは、現在は『おいおいピータン!!』と名前を変えて「Kiss」で20年以上連載されているオムニバスショートコメディで、講談社漫画賞少女マンガ部門や手塚治虫文化賞短編賞などを受賞している。「食べる」ことを中心に、人生様々な「あるある」を描き出し、笑いながらちょっと胸がチクッとしたり、目から鱗の気づきを得たりすることができる傑作ショートコメディだ。

「たられば」では、勤務先の同僚でつきあっている大森さんと渡辺さんカップルが、それぞれ帰りがけに捨てられている黒猫をみつけてしまったところから物語が始まる。「拾ってください」と貼られた箱にいる黒猫が気になるふたり。けれど、果たして日中働いてる私たちに飼うことができるのか。自宅だってペット禁止だから、引っ越す覚悟はあるのか。でも、あのまま放置されていたらどうなっちゃうの……。

(C) 伊藤理佐『おいピータン!!』3巻/講談社

そして二人は決めるのだ。
常連の居酒屋にいってご飯を食べよう。いつものおつまみメニューを頼んで、ビールとお酒で一杯して、そして帰り道まだあそこにいたら……。

(c)伊藤理佐『おいピータン!!』3巻/講談社

こういうCMがあった。犬を箱に入れ、語りかける親子らしきふたり。
「親切な人に拾ってもらってね……」
この言葉にかぶせて、ナレーションはこう続く。
「どんなに優しそうに聞こえても、これは犯罪です」

親切な人に任せて、一度は自分が飼うときめた命を外に放置することは、命を殺すことと同じだ。自分は果たして命を守ることができるのか。ペットを飼おうとする前に、真剣に考える必要があるのである。