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設立からわずか11年で月面へ
1958年の今日(7月29日)、アメリカ航空宇宙局・NASA(National Aeronautics and Space Administration)が設立されました。
NASAは航空諮問委員会(NACA)を母体とした大統領直属の組織で、有人宇宙飛行などの非軍事的な宇宙開発を目的としています。
1950年代、世界は第二次世界大戦後の覇権をかけたアメリカとソ連の争い、いわゆる冷戦に揺れていました。
両国が様々な分野で凄絶な技術競争を行うなか、1957年にソ連が世界初の人工衛星・スプートニク1号を打ち上げたことでその争いは宇宙開発にまで拡大します。
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スプートニク1号の打ち上げは、当時のアメリカが技術上想定していなかったものであり、「スプートニクショック」などと呼ばれることもあります。
当然のようにアメリカは危機感を抱き、翌1958年に急ピッチで立ち上げたのがアメリカ航空宇宙局・NASAです。その本部はワシントンに置かれ、アメリカの総力を挙げて宇宙開発研究が行われました。
NASAは設立後すぐに軍隊などの様々な組織から人員の補給を受け、急速に拡大。高度な技術力を獲得するに至りました。
NASAは有人・無人を含めて多くの宇宙開発を行いましたが、その中で最も有名なのは「アポロ計画」でしょう。
当時の大統領ジョン・F・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy)の指導で開始されたアポロ計画は「1960年代までに有人月面着陸を目指す」というもので、当時の社会に多くの話題と影響を与えました。

アポロ計画の開始以降、第二次世界大戦後に使用機会の減ったミサイル基地が宇宙開発の拠点として改造され、特に1966年に完成したフロリダ州の「ケネディ宇宙センター」は現在でも宇宙開発の拠点として有名です。
このようなアメリカの本腰を入れた研究の結果、1969年、ついにアームストロング(Neil Alden Armstrong)船長率いるアポロ11号が月面に降り立ちました。
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NASAは現在でも月面に基地を完成させるという「アルテミス計画」を進めるなど、人類の可能性を広げるために活動しています。