2001年9月11日に勃発したアメリカ同時多発テロ。罪なき多くの人々の多大な犠牲者を出したこのテロ行動は、決して許されることではない。
当時のブッシュ政権は2001年10月7日のアフガニスタン空爆を機に、アフガニスタン戦争を決行。2011年にアルカイダの首謀者オサマ・ビンラディンが殺害されるまで10年にわたり、戦争は続いた。

2001年12月7日に公開された空爆の写真。空から爆弾が降ってくるのが、第二次世界大戦ではなく、今の出来事として起きていた Photo by Getty Images

しかし、決して許されない行為を罰するにはどうしたらいいのか。武力には武力を、が正しいのか。このテロはテロリストだけが一方的に悪いことなのか――そんな複雑な思いを抱えていたのが、夫がこのテロで犠牲となった杉山陽一さんの妻・晴美さんである。
あの日から20年を綴っていく連載の9回目では、2002年に綴った戦争への率直な思いを改めてお届けしている。前編「アメリカ同時多発テロの「報復」で戦争勃発…犠牲者の妻が考えたこと」に続き、後編では、もし夫の陽一さんといま会話ができるのなら、夫は何を語るだろう――それを思いながら、子供にこのテロのこと、戦争のことをどう伝えればいいのか逡巡した心の中をそのままお届けする。

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とにかく行動を起こしてみよう

【2月15日】
これからの半生、他人を励ますために時間を費やしてみよう。

そんなことを口に出すこと自体、おこがましいことなのかもしれないが、そんなこと言ってみたところで、何も事態は変わらない。何ひとつできずに一生終わってしまうのかもしれない。実際わたしなど本当に無力な人間にすぎないのだろうから。

けれど……実は何もできなくてもいい。おこがましいと思われてもいい。自分のただの思い込みになってしまってもいい。

とにかく行動を起こしてみよう。

何もしないよりは、マシかもしれない。腰を浮かしてみようと、そう本気で思うようになった。それもまた運命と……こんな事件に遭遇し、体験させられたわたしの運命と……この際そこまで大げさに思ってしまおうではないか。

まずは、自分のできることを思いつくままにやってみよう。それが、わたしを今回励まし支えてくれた多くの人への恩返しでもあり、尊い命を落としてしまった……夫のその死を無駄にしないことであり……。

そしてわたしの姿を……一生懸命な姿をみせてやることが、わたし流の子育てにつながっていくかもしれないのだから、何をどこまでできるのか、さっぱりわからないけれど、これからはどんどん動く。人の輪の中へ。社会の中へ。平和を祈り訴えながら。

【2月15日】
考える大切さを子供たちに、これからの世代に知ってほしい(もちろん大人にだって)。
悩める幸せをかみしめられる。そんな人間になってほしい。
もっともっと考えて、ほってほってほじくりかえして……たとえその時なにも出てこなくてもけっしてそれをやめないで。その行為こそが、いつか自分を救うから。ただのほじった土の山が、実は値千金なものだったり……そんな日がいつか来るから。