提供:江戸川区

豊かな自然と下町の人情味を感じられる東京・江戸川区では、共生社会の実現を目指すため「えどがわ未来カンファレンス」(えどカン)を定期的に開催し、全ての人にとって住みやすいまちづくりを進めています。えどカンメンバーである乃木坂46の山崎怜奈さんと、車いすラグビー選手の壁谷知茂さんが、江戸川区の魅力や、理想の未来の姿を語りました。

大好きなまちをもっと住みやすく。
多様な視点から意見を交換する。

山崎 私は江戸川区で生まれ育ち、大学に進学するまで約18年間住んでいました。

壁谷 僕は2019年から江戸川区に住んでいます。関西から上京し、車いすラグビーの練習拠点であるお台場(港区)へ通うのに、車でアクセスの良い場所を探していました。車椅子で暮らせるバリアフリーのマンションがなかなかなく、ようやく辿り着いたのがここでした。

山崎 住み心地はどうですか?

壁谷 優しい方が多く住みやすいです。近所のおそば屋さんは僕が競技をしていることを知っていて、「練習お疲れ様」と、行く度に大盛りのそばを出してくれます。そういう古き良き人情味を東京23区で感じられるとは思っていなかったので嬉しかったですね。

山崎 都心にはない下町感がありますね。私も東京出身と自己紹介するより、江戸川区出身と言ったほうがフレンドリーに受け取ってもらえることが多く、それは江戸川区が持っている土地柄や人、文化が影響しているのではないかと思います。

壁谷 そうかもしれません。

葛西海浜公園 2018年に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の「ラムサール条約湿地」に都内で初めて登録された。天然の干潟を残した海上公園構想が実現した貴重な場所であることが評価された、多くの生き物が住むスポット。江戸川区民の憩いの場でもある。

山崎 私は江戸川区以外に住んでみて、改めてこのまちの良さを実感しました。自然が身近にあって、帰ってくると心が落ち着きます。水鳥が生息している葛西臨海公園をはじめ、区内にたくさん公園があるのも魅力です。

壁谷 今日撮影をしたフラワーガーデンにも綺麗な薔薇が咲いていましたね。その近くにあるなぎさポニーランドは、ポニーと触れ合えるお気に入りスポットです。

山崎 自然と触れ合えたり、川のせせらぎが近くで聞こえたりする環境は、貴重だったんだなと気づきました。そして昔から海外の方が多く住んでいる印象もあります。西葛西にはインド料理店が多く並ぶエリアがあったり、店内に中国語が飛び交う中華料理店があったり、本格的な異国料理が楽しめるお店もたくさんあります。

壁谷 僕もよく行っています。

山崎 小さい頃から海外の方と身近に接する機会は多かったかもしれません。壁谷さんは住んでみて、改善してほしい点はありますか?

壁谷 車椅子で生活していると、まだまだ行くことができない場所がたくさんあるのも事実。民間のお店をバリアフリーにするのはなかなか難しいと思いますが、行政の課題のひとつだと思います。

山崎 エレベーターの設置されていない歩道橋もまだありますし、バスのステップなども乗り降りが大変そうです。車椅子の方はもちろん、ベビーカーを押す人にとっても不便ですよね。

壁谷 はい。以前アメリカのボストンに留学していたことがあり、そこでは車椅子に乗っていることで制限を受けるという場面がほとんどありませんでした。交通機関はもちろん、お店など都市のつくり自体がバリアフリー。他国で実現できている前例があるので、日本でできないことはないと思います。えどカンでも、このような僕の体験を交えて意見を出しています。

山崎 えどカンはまちをより良くするために、いろんな職業や経歴を持つ人が集まって、まちのありようがどのように見えているのか意見を出し合っています。私の経験だけでは知り得なかった視点に気づかされて勉強になることばかりです。

壁谷 僕は人生の途中で車椅子生活になりました。はじめは車椅子だからと諦めていたことも多くありましたが、当事者だからこそわかる問題点がたくさんあることに気づきました。それについて声をあげて問題を解決していったら、僕以外にも生活しやすくなる人がいる。目の前のことに向き合って、考えていかなければならないと改めて思うきっかけになりました。

山崎 私のような現役のアイドルが区の取り組みに関わらせていただくことは珍しい事例かもしれません。最初にお話をいただいたときは驚きましたが、大学で地域創生やまちづくりについて学んだこともあったので興味を持って引き受けました。アイドルという立場を活かして、もっと多くの人に江戸川区のことを知っていただけるように発信していけたらと思っています。

平成庭園 北葛西の行船公園のなかにある緑豊かな日本庭園。池の周りの散策路では、春には桜やハナショウブ、ツツジ、夏はサルスベリ、秋はモミジなど四季折々の花が咲く。池の畔にある純日本建築の源心庵では、茶道や華道などの日本文化を楽しむことができる。

壁谷 年齢も性別も国籍も、立場や職業もさまざまな人にとって住みやすい江戸川区にすることがまさに共生社会の実現であり、えどカンが目指すゴール。以前、車いすラグビーで、僕とアメリカ人、母国語がフランス語のカナダ人、コロンビア人の4人でチームを組んだことがありました。それぞれ英語のスキルにバラつきはありますが、コート上でどこまで連携できるのか不安でした。しかしいざプレーしてみると、とてもスムーズに意思疎通ができたんです。言葉でのコミュニケーションは難しくても、相手の表情やプレーにフォーカスしていたからできたのかもしれません。それぞれ生まれ育った場所や言葉は違っていても、実はみんな年齢も近いし、ビールが好きでスポーツが好き。共通点もたくさんありました。多様性を考えるとき、どうしても違いに目がいきがちですが、共通する部分に着目すればもっとお互いを理解し合えるのではないでしょうか。

山崎 本当ですね。そして違うということを拒否せず、「私とあなたは違うけれど、あなたにはあなたの良さがある」ということを見つけていくのも前向きな考え方だと思います。私は小学生の頃、周りと同じようにしなければならないことが苦痛だった時期があります。教育上必要な部分もあったのかもしれないけれど、違いを認め合う環境が子どもの頃からあったらいいなと思います。

壁谷 障害のない人も車椅子に乗っている人も、目が見えない子も一緒に学ぶ教室が実現すればいいですね。そういう環境で育った子が、例えば大人になってレストランを開こうと思ったときに車椅子の人が入ることができないお店をつくるとは思えないんです。小さい頃から多様な価値観に触れる環境で暮らして、自分なりの価値観を見出して行動することがあるべき姿だと思います。

山崎 多様性が当たり前の世の中、教育の現場をつくっていくのは大人の役割ですね。そして地域の特色や伝統工芸が残っているのも江戸川区の魅力。なにもかも新しくしてしまうのではなく、このまちが持っている懐かしさや温かみは残しつつ、多くの人にとって住みやすいまちにアップデートされていけばいいですよね。

 えどがわ未来カンファレンスとは 
「誰もが安心して自分らしく暮らせる共生社会の実現」を目指し、江戸川区が立ち上げた会議体。共生社会とは、年齢や性別、障害のあるなしなどにかかわらず、全ての人が支え合い安心して暮らせる社会のこと。山崎怜奈さん、壁谷知茂さんをはじめ、さまざまな職業や立場で活躍するメンバーが参加し、まちをより良くするための議論をしている。これまでにSDGsの17のゴールなどをテーマに4回開催され、メンバーそれぞれの視点からのアイデア発表や意見交換をした。江戸川区は今年5月21日、SDGs達成に向け積極的に取り組む都市として2021年度「SDGs未来都市」に選定された。

壁谷知茂 
かべたに・ともしげ/1987年奈良県生まれ。現在は江戸川区在住。車いすラグビー選手。AIGジャパン・ホールディングス株式会社所属。歯科医師。海外での医療ボランティア中に事故に遭い車椅子生活に。2019年には日本選手権大会で優勝した。

山崎怜奈 
やまざき・れな/1997年東京都江戸川区生まれ。乃木坂46の2期生。TOKYO FMで放送中のラジオ「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」は多くのリスナーに支持されている。著書『歴史のじかん』(幻冬舎)を上梓するなど歴史にも造詣が深い。


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●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
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Photo:Norio Kidera Text & Edit:Saki Miyahara