国内で“快進撃”の映画『竜とそばかすの姫』 世界でも大ヒットの“予感”が期待できる「ワケ」

数土 直志 プロフィール

狙えるか、アカデミー賞

グローバルに伝わる作品であれば、今後の海外での活躍と大きな成果が期待される。たとえば2021年度の映画賞レースだ。

結果がでるのが今年暮れから来年となるので予想としては少し早すぎるかもしれないが、2018年の『未来のミライ』に続く結果も予想される。米国アカデミー賞では『未来のミライ』に続くノミネート入りは、かなり有力だろう。

(C)2021 スタジオ地図
 

すでに米国配給としてGKIDSという会社が発表されている。GKIDSはスタジオジブリ作品の北米配給を手がけたり、毎年、アカデミー賞など各映画賞のノミネートに作品を送り込むことで知られている。取扱い作品は少なくないが、それでも2021年は『竜とそばかすの姫』が一番の注力タイトルになるはずだ。

既にカンヌで注目を浴び、日本でも大ヒットとなればタイトルが知られている点でも有利だ。さらに制作における海外スタッフの投入も、ここでは効いてくる。

近年アカデミー賞にエントリーする長編アニメーションの数はうなぎ上りだ。『千と千尋の神隠し』が受賞した2002年のエントリー数は17本だったが、19年は33本、20年は27本にもなっている。良作品であっても、選考委員や投票メンバーに知られていない、観られていないだけで候補からこぼれ落ちることも少なくない。

ディズニーやピクサーの大作が賞レースで有利になる理由である。ディズニーで活躍したジン・キムや有名なカートゥーンサルーンが参加する作品であれば、世界のアニメーション・映画関係者が観る理由、観なければいけない作品になってくる。

戦略さえ間違わなければ、『竜とそばかすの姫』が米国アカデミー賞を含めた北米の賞レースに深く関わってくる可能性はかなり高い。ノミネートだけでなく、さらに上を目指すことも可能だろう。

もちろん映画賞だけでなく、興行的な成功も視野にいれたいところだ。これも近年の日本の劇場アニメを取り巻くグローバルの映画業界の状況から、これまでにない結果に挑戦したい。

各国でなかなか大型配給が実現しなかった日本の劇場アニメだが、『君の名は。』(2016)や2020年から21年にかけての『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』のヒットで状況が変わりつつある。日本の劇場アニメも大衆層にアプローチできると見られるようになってきた。

魅力的な作品であれば日本アニメも積極的に取り上げ、ヒットを目指したいとの判断も生まれつつある。いま日本の劇場アニメにはグローバルで大きなチャンスがある。この中で大きな才能と共に、意識して世界を目指す監督が現れることは、日本のアニメ界にとっても意味が大きい。『竜とそばかすの姫』の海外での活躍が期待される理由だ。

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