「死刑賛成派」も知っておくべき「日本の死刑制度」驚きの“ほころび”

アメリカとの比較で見えること

古くて新しい死刑の存廃論

この記事を読まれている人の中には、死刑制度について賛成だという人も少なくないかもしれない。現に、大臣の所信表明でも多くの世論が賛成であるとしているし、死刑制度の廃止については時期尚早であるといった言葉が使われることが多い。

しかし、筆者がここで問いたいのは、死刑に反対であるにせよ賛成であるにせよ、みなさんは、実際に死刑制度についてどの程度ご存知だろうか、ということである。とくに、制度そのものの是非と同時に、死刑を維持していくことの前提となる「刑事司法手続」について意識されたことはあるだろうか。

〔PHOTO〕iStock
 

経済的に発展している国の中でも死刑が維持されていることで有名なのはアメリカだが、これまでこの国では、死刑制度の存置について合憲と違憲のあいだを揺れ動いてきた。すなわち、アメリカでは、死刑についての議論を行わずに同じ運用が行われているのではない。常に、運用を見直して修正しながら維持をしているのである。

もっとも、アメリカは死刑存置国ではあるが、2021年4月現在で23州とワシントンD.C. そして5の自治領では、法律上の死刑がない。さらに、法律で死刑を定めていても10年以上の執行を行なっていない「事実上の廃止州」とされる州も合計7に上り、半数以上が廃止か事実上の廃止をしている。このように、かの国では、常に存廃についての議論が行われているのである。

また、2021年7月1日には、ガーランド司法長官が、連邦レベルでの死刑のあり方や執行方法の検証を指示し、検証が終わるまで死刑の執行を停止するとする、いわゆる「モラトリアム」について発言があった。このように、しっかりと検証する機会を設け、それについて議論をし尽くすという姿勢が見られ、その期間は執行を停止するとしているのである。

さらに、日本においても、世論の多くが死刑制度に賛成と言われるが、賛成の人であっても不適当な運用の下に死刑制度が維持されてもいいとは考えないのではないか。ここでは、死刑制度の是非を考えるためにも、その前提として、現在の日本での死刑を取り巻く「議論の不備」と死刑制度の現状について見ることとしたい。

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