トヨタ「五輪CM取りやめ」で明らかになった、広告業界の「大きな変化」

これまでの広告とは、まったく別物に…
難波 功士 プロフィール

ここ10年来、広告・広報やマーケティングの世界では「トリプルメディア」という言葉がよく用いられました。一つ目は「ペイドメディア(paid media)」。これは広告を出したい側が、料金を払って広告の時間や空間を確保するタイプのメディアで、民放や新聞・雑誌などがあたります。

二つ目は「オウンドメディア(owned media)」。これは広告・広報する側が自身で保有しているメディアで、企業のホームページやPR誌などがわかりやすい例でしょう。

そして最後に「アーンドメディア(earned media)」。これは「評判を稼ぐ」メディアの意で、人々の間で情報が拡散するツイッターなどを想定しています。三つ目などは広告・広報する側のコントロールが効かないものなのですが、これらトリプルメディアを上手く組み合わせて使えない限り、企業等は生き残れないといった議論がよくなされてきました。

トヨタは依然としてテレビCMなど、コマーシャルなメディアを用いる巨大広告主です。しかし、近年、マスメディアをはじめとしたペイドメディアを利用するよりも、オウンドメディアの充実を図っているように思われます。

2019年からトヨタは「トヨタイムズ」を展開し始めます。これは、香川照之が編集長としてトヨタのさまざまな側面を取材し、ときには豊田章男社長などにもインタビューしていくというシリーズ広告なのですが、その主戦場はテレビ(CM)ではなく、ホームページ(https://toyotatimes.jp/)やYouTubeチャンネルにあります。

トヨタイムズ編集長の俳優・香川照之[Photo by gettyimages]
 

そこでは決算報告や労使交渉の様子を伝える動画までがアップされ、トヨタの今を伝える膨大なコンテンツが日々蓄積されていっています。「好きなときにいつでもアクセスできて、掘りたくなればどこまでも深掘りすることが可能」という点で、若い世代の情報行動に非常に適合的です。

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