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【土用の丑の日】ウナギを「食べ過ぎてはいけない」道徳的な理由

まだ見ぬ「将来世代」の利益を考える
吉永 明弘 プロフィール

この話を聞くと、多くの人は世代間倫理に納得する。将来の人々のことも考えて意思決定することが大事だよね、ということに異論をはさむ人はあまりいない。「今だけ、ここだけ、自分だけ」の利益を考える人は、少なくとも道徳的であるとは見なされない。しかし実際の意思決定は、「今だけ、ここだけ、自分だけ」になる傾向がある。

 

4000年先の世代を考えられるか

他方、環境倫理学では、世代間倫理には難点があることも指摘されている。高橋広次は、それを以下のようにまとめている。

(1)識別問題(将来世代といっても具体的に誰に対して責任を負っているのか分からない)

(2)距離問題(世代が遠ざかるにつれて責任を感じにくくなる)

(3)不知問題(現在世代は何が将来世代の利害になるか知りえない)

(4)偶然性問題(将来世代への確実な影響関係は証明されえない)

(5)分配問題(現在世代と将来世代との間でどのように資源を分配すべきかわからない)

(6)優先問題(現在世代内の苦しみを救済するほうが先である)

(7)責任問題(将来の大破局の責任を個々人に問えるかどうかわからない。また大破局が生じたときにはその原因となった世代はおらず、処罰されえない)

これらの観点から、子や孫といった直近の将来世代については道徳的責任を引き受けられるとしても、遠い将来世代に対する道徳的責任を引き受けることは困難だと高橋は言う(高橋広次『環境倫理学入門』勁草書房、2011年、121-123頁)。

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