首都サンサルバドル  by Gettyimages

これはマネロン用なのか、エルサルバドルがビットコインを「通貨」に追加

米ドルしか通用しないはずなのに…

迷走、エルサルバドルの通貨の歴史

九州の半分ぐらいの大きさで、人口650万人強の中米の小国エルサルバドルが、ビットコインを通貨(法定通貨)とするというニュースが流れた。世界でビットコインを始めとした暗号資産(仮想通貨)に注目が集まった。

ブケレ・エルサルバドル大統領(手前)  by Gettyimages

事実を確認しながら、解説すると、日本もそうであるが、通常の国では「通貨法」でその国の通貨を規定する。しかし、今回は、追加的に「ビットコイン法」という法律を作り、6月8日に議会で可決された。エルサルバドルでは90日以内に施行しなければならず、ほぼギリギリの9月7日(火曜日)が指定されたというわけである。

中南米諸国の通貨政策は専門家から見ても非常に興味深い、放漫財政・インフレーション・通貨危機は日常茶飯事で、さらに、通貨を米ドルにしてしまうドル化(ダラライゼーション)も、パナマ、エクアドル、エルサルバドルの他、数か国で導入されている。

エルサルバドルの通貨の歴史を見てみよう。なお、通貨名に、サルバドール○○と出てくるのは、そもそもの国名がEl Salvador (英語ではThe Savior)であるからで、elは定冠詞、salvadorはそもそもの意味では「救世主」の意味であった。

エルサルバドルの先住民族はカカオを通貨として使用した。スペインの植民地となった後、1830年に独立し、その当時は「マカコ」(Macaco)という通貨を非公式に使用していた。その後、1856年マカコは法定通貨となった。

さらにその後、1877年に「サルバドール・レアル」(Real:もともとの意味はRoyal)、1883年、「サルバドール・ペソ」(Peso:もともとの意味は天秤/計量)となった。レアルもペソもスペイン系の国々でよく見かける名前である。

1892年には、米国大陸を発見した“コロンブス”に因んで「サルバドール・コロン」(Colon)となり現在に至っている。

これらの何回も行われている通貨の変更は、実際には、インフレによって金額表示が大きくなりすぎたときに、通貨単位を切り下げていく、いわゆる「デノミ」(デノミネーション)を行っていたのである。体質的に高インフレに悩む中南米には必要な経済政策と考えられる。

エルサルバドルは1992年に内戦が終結し、2001年に統合通貨法が施行され、コロンに「加え」米ドルも通貨とした。その後、「実質的」に米ドルが流通していくことになった。現在では、コロンはほとんど見なくなった。

 

そして、今年6月5日、この原稿がアップされるころには40歳になっているナジブ・ブケレ大統領はビットコインを通貨に加えることを表明した。通貨法の改正ではなく、新しい追加的な法律として「ビットコイン法」を国会へ提出し、8日に議会で可決された。今後、電子財布「CHIVO」(チボ:おしゃれの意味) が配布され30ドル分のビットコインが配布される。

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