誰も真似ができない…小日向文世はなぜあんな演技ができるのか

現代最高の「脇役」を解剖

同じ笑顔のはずなのに

6月に最終回を迎えたリーガルドラマ『イチケイのカラス』(フジ系)には、大反響を呼んだ小日向文世(67歳)の演技がある。

ある殺人事件で、藤代という男が「自分が犯人だ」と供述する。ところが、捜査が進展していくと真犯人は被害者の子供だとわかる。罪を背負うことで藤代は、かつて自分の命を救った被害者の妻に恩返しをしようとしていたのだ。

藤代に対して、小日向演じる裁判官は穏やかな笑みを湛えてこう語る。

「貴方を疑い、改めてどういう人間か知った。貴方なら人生をやり直せる。私は信じています」

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淡々としているようで優しさが滲み出る彼の台詞に、涙腺が緩んだ視聴者が続出した。

この作品の前に出演していたドラマ『危険なビーナス』(TBS系)では、温厚で優しいが「裏の顔」も併せ持つ数学者を演じている。その演技の幅広さをもって、現代最高の「脇役」だと賞賛する人は多い。

「何も特別なことはしていませんよ。役をありがたく頂戴して、監督の要求に答えているだけです。それを良い意味で覚えてもらえるのは、僕の見た目と演技にギャップを感じているのではないでしょうか」

こう語るのは、小日向本人だ。微笑みながら説明してくれるものの、その笑顔の裏に得体の知れない危うさが潜んでいるようでもあり、ひるんでしまう。

 

どんな役柄でも演じ切る秘訣を聞いてみると、「たまたま素晴らしい本(脚本)に出会って、本通りに演じているだけ」とへりくだって答えるばかりだ。

かつて、小日向は、「温厚で優しそうな人」というイメージを持たれていた。だが、活躍の幅を広げるにつれて、凶悪犯罪者やヤクザの組長すらも自然に演じてしまう彼に得体の知れなさを覚えた人は多いはずだ。

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