山あり谷ありの10年間だった

さまざまな場所で情報発信する中で、「いつも夫婦仲良く家族いい雰囲気だね」と言っていただくことも多いけれど、実はこの10年間ずっとそうだったかというと、決してそうではないと思う。

それはきっと多くの夫婦がそうであるように、山あり谷ありだった。しかし、やはり、ここ1年ほどの生活拠点を海外に移す、しかもコロナ禍で、という超ハードモードの引っ越しを乗り越え、ガラッと生活が一変したことが夫婦関係にも変化をもたらしたと感じる。

シンガポールのチャイナタウンにて。伝統的な建物が並びます。提供/福田萌
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家族の絆が深まったし、家族が協力し合わなければ生きていけない、という共通の思いがどこかにあるからこそ、今は全員が対立したり足を引っ張ったりしている場合ではなく、力を合わせよう、となっているのだ。家族という小さな単位の共同体の話だけど、これは、会社や学校、社会、国、あらゆる共同体につながる話だよな、とぼんやりと思ったりする。

出会ったばかりの頃は、それは20代後半の若い二人だったから、お互いゴツゴツした岩のような状態だったと思う。お互いがそれぞれ歩んできた道のりに自負はあった。だけども、それを誰かに認めてほしい、もっと世界から肯定されたい、という思いもどこかに抱えていて、衝突したり、相手のちょっとした言動に自分が否定されている気がして傷ついたりした。

もう一緒にいない方がいいかも、とか、もっと自分を受け止めてくれるクッションのような存在は他にいるかも、と考えたりもした。でも、付き合っていた時に彼が言った、「君と僕との間には、誰かもう一人、小さい子が見える気がする」という言葉が、私はとても嬉しかった。

子供がいずれ欲しいと思っていたけど、でもすごく強い願望というわけでもなかった当時、私との間に家族のようなあたたかな未来を思い描いてくれている彼の言葉がとても幸せで、最終的にはその時の言葉がその後の人生のいろんな場面を支えてきてくれたように思う。どんなに喧嘩しても、ひとりで過ごす時間が長くても、この人は私との未来を見つめて一緒にいることを選んでくれた人なのだから、と。