力で対抗するより、許して歩み寄ること

日本での「人と違う自分」を受け入れられないエブリン選手。そして日本では「人と違うエブリン選手」を受け入れられない子どもたちもいた。周りから聞こえる心無い言葉に怒りを覚え、力で対抗することもあった。しかし小学4年生のときに「力で対抗すること」よりも「許すこと」が強さであることに気づいたという。

「本当にバスケを始めた時期です。一度泣き喚いて『どうしてみんなと違うの?』ってお母さんに言ったことがあったんです。そのときにお母さんから『本当にみんなと一緒がいいの?』って言われました。『自分自身にしかない魅力を逆になんで使わないの?』って。

ほかにも、聖書の中にある『隣人を自分のことのように愛しなさい』という言葉をよく言われましたね。でもそのときは、自分のことを悪く言う人に対して反発していた時期で、相手を許せなかったんです。でも心のどこかでそれじゃいけないなってことに気づいていました。やっぱり自分が考え方を変えることによって、周りの人も色々話してくれるようになったし、興味を持ってくれるようになりました。そして、バスケを通して、自分のことを主張するところと抑えるところ、そういう塩梅を学びました。お母さんも職場などで色々言われて辛い思いをしていると思うんですけど、それをものともしない感じで、周りに接してるのをみて、そこが一番の勉強になりました」

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身体能力が並外れて高く、運動会ではまるで大人が子どもをねじ伏せるかのように誰も追いつけない速さだった。水泳など様々なスポーツをやりながら、地元のバスケットボールクラブでバスケを始めた。仲間と一緒にやるバスケと出会ったこと、自分自身で反発している自分を変えなきゃいけないと思えたこと、そしていつも明るい母からの言葉で、エブリン選手は自分を変えることができた。自分が変われば、周りも変わるということをわずか小学4年生にして気づいたのだ。そして、その強さはバスケにも繋がった。

小学生の時の集合写真。ひとりだけ頭ふたつ分抜き出ている 写真提供/馬瓜エブリン