助けてくれたのはありがたいが…

『危なかったね。カイロの交差点は慣れない旅行者には危険だ。目的地までついていってあげるよ。でないと君はすぐ死ぬ』

アブドラ(仮名)という20代後半くらいのエジプト人青年はそう言うと、また手を引っ張りながら爆走してくる車をひょいひょいと避けて歩いていく。

『横断歩道は全部助けてあげる代わりに、僕の店に寄って行ってくれないか?エジプト土産をプレゼントしたいんだ』

カイロの「ハン・ハリーリ」は、アラビアンナイトの世界にタイムスリップしたような雰囲気を味わえるバザールだ。人の波を掻き分けてアブドラについていくと、夢のように色とりどりの鮮やかな土産物に目が釘付けになった。

カイロのハン・ハリーリバザールには色鮮やかな土産物、香水瓶、アクセサリーや布などが売られている。相場を調べておき、ぼったくられないことが大事。写真提供/歩りえこ

『僕の店はここだよ。君にあげたい物があるからちょっと待ってて』アブドラはこじんまりとした店の奥から葉っぱのようなモノを持ってきた。『本に挟んで使って』よく見ると……いや、よく見なくてもそれは紛れもなく、単なる木の葉っぱだった。

エジプト土産は何か買うよね? 一つでいいから僕の店で買っていってくれないか?』確かにどうせ買うなら親切にしてくれた彼の店で買いたい。店を見渡すと、ダラブッカというエジプトの太鼓が目に留まった。

「うわー。本物だ! これがいい!幾らですか?」『すごく良い物見つけたね。5000エジプトポンドだよ』……さっき両替したばかりで、イマイチ幾らなのかよく分からない。

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当時はネットカフェに行かないとネットもなかなかできない時代だったので、最新のレートが幾らなのかもよく分からなかった。ガイドブックで、大体のレートを確認してみると、約3万5千円だった。

この楽器の相場価格もわからないうえに、数字がイマイチイメージしづらい私には高いのか安いのかよく分からないが、今日泊まる宿は一泊200円だ。そう考えると……たっか!

エジプト国有鉄道「ENR」。カイロから観光地アスワンまで約850kmの移動費用は約1400円だった。写真提供/歩りえこ