「恐竜のタマゴの里」は「中国恐竜の里」でもあった! 新種も続々?

しかし、名前はいい加減につけられた!?

前回の記事に引き続き、中国内陸部のマイナー都市・江西省韓州市の恐竜事情をお伝えしていこう。「中国恐竜の里」の異名を持つこの街の付近では、近年になり特に小型獣脚類のオヴィラプトロサウルス類(Oviraptorosauria)の仲間の化石が数多く見つかることで知られ、すくなくとも2017年までに7属が報告されている。

今回はそのうちいくつかの種について、中国側の情報を参照しながら詳しい特徴を紹介していくことにしたい。化石はいずれも白亜紀末のカンパニアン~マーストリヒチアン(約8360~6600万年前)の地層である南雄層(Nanxiong Formation)から見つかっており、当時の韓州市の周辺では、オヴィラプトロサウルス類が非常に多様性豊かに栄えていたようだ。

贛州市の位置(Map:GoogleMap)

もしかすると盗掘由来?

バンジ・ロング(班嵴龍:Banji long)

2010年、著名な恐竜研究者である中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の徐星(Xu Xing)と、その教え子で当時はまだ大学院生だった韓鳳祿(Han Fenglu,現在は中国地質大学地球科学学院副教授)によって報告された恐竜だ。

名前の由来は、化石の鼻の上に特徴的な縞模様が観察されたことで、中国語で縞模様の尾根を意味する「バンジ(班嵴)」と名付けられ、これがそのまま属名になった。なお、種小名の「ロング」は中国語の「龍(long)」をラテン語式に読んだものだ。

カタカナで「バンジ」と書くと斬新な響きがあるが、実際は中国語名のピンイン(アルファベット)表記をそのまま学名にしただけであり、いまいちやる気を感じない命名である。

さておき、見つかったのは65mmほどの頭部の化石で、すでに生まれてすぐの幼生の時期は過ぎた個体だったとみられるが、いずれにしてもバンジが小柄な恐竜だったことは間違いない。オヴィラプトルの仲間のなかでは比較的原始的な特徴を持ち、頭部の特徴から他の種と区別されるものだとされた。

【図】バンジ・ロングの頭骨バンジ・ロング(班嵴龍:Banji long) "A New Oviraptorid Dinosaur (Dinosauria: Oviraptorosauria) from the Late Cretaceous of Southern China and Its Paleobiogeographical Implications". Scienfitic reports 5 (2015)

徐らの論文によると、化石は身元を公開していないアマチュアの化石収集家からもたらされたものだという。これは中国の常識から考えると、おそらく化石ハンターによる盗掘・転売品だったのではないだろうか。

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