いっそのこと空母を新造すればよいとの案もあるだろう。その考えは、予算不足から本格的な護衛艦を建造できず、護衛艦と掃海艦の機能を併せ持った安価で小型な多機能護衛艦(FFM)を建造せざるを得ない海上自衛隊の実情を無視しており、現実的とはいえない。
政府は「憲法上、他国に脅威を与える兵器は持てない」として大陸間弾道ミサイル、長距離戦略爆撃機、そして攻撃型空母の保有を明確に禁止しており、空母建造となれば憲法上の問題が浮上する。
F35Bを搭載した場合の「いずも」型は攻撃型空母とみなされるが、政府は中期防の中で「いずも」型の改修を明示しながら「なお、憲法上保持し得ない装備品に関する従来の政府見解には何らの変更もない」と追記して取り繕った。
米海兵隊は歓迎しているが…
海上自衛隊の中から聞こえてくるのは「いずも」型の空母化に対する不満ばかりだ。その中で歓迎の声を上げたのは米海兵隊である。
2019年8月、来日した米海兵隊トップのバーガー総司令官は「自衛隊のF35の操縦士が米海軍の艦艇に着艦し、米海兵隊の操縦士が海上自衛隊の艦艇に着艦する。これが目標だ」と語り、日米相互運用性の進展に役立つと歓迎した。

その後、米海兵隊の足となる強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」が米国で火災を起こして退役することが決まった。この穴を埋めるのに「いずも」型が米軍機のプラットホームとして利用される可能性はさらに高まったといえる。
そこには、ちぐはぐな印象が否めない。