2次元球面 ~「球」は「平面」から作られる?~
まずは平面に円板をとります。中身はあるとします。境界がないものを開円板、境界があるものを閉円板といいます。これらは中学や高校でも出てきていたかもしれません(図2) 。

球面は、どの点をとってもその点のまわりは、その点を中心とした小さい開円板になっているとみなせます(小さいので曲がっているのは気にならない、あるいは、そういう仮定の下での話をしています)。球面の中で線を伸ばしても、はみ出ません。地上を歩いていっても、地球からはみ出ない、場合によっては1周して戻ってくることもある、ということをいっています。
地球から飛び出て宇宙空間に行ってしまうことは考えません。また、球面は、図3のように、2枚の平面を少し変形して丸めたものを貼り合わせたものと考えることができます。

この平面円板を曲げてできた曲面上の人たちが、「どんどん歩いていく」といった場合、曲面に沿って動いていくことを意味します(という仮定の話をしています) 。「曲面の上を歩く」「曲面に沿って歩く」というのは、曲面に接触した状態で歩いていくという意味、また、「曲面から飛び出ずに」という意味です。言葉の綾ですのでお気になさらないように。
このような言い方もできます。片方の閉円板にいた人が、知らぬ間に、その閉円板ともう一方の閉円板とが重なっている円周のところに来て、もう一方の閉円板に自動的に移ることもある。その人にとって、自分のまわりはずっと自分の立ち位置を中心とした小さな開円板とみなせるのです。
円周のところも、実際には境界の円周が描いてあるわけではないので、ずっと自分のまわりは自分の立ち位置を中心とした小さな開円板と思っているのです。だから、自分は1枚の大きな平面にいると思っている。だけど実は全体は球面だったということになります。
さて、この話より1つ次元が上のことを類推して、予告した上述の一解を説明しましょう。3次元空間の中に中身の詰まった球をとります。境界のないものを開球体、境界のあるものを閉球体というのでした (図4)。
