ドイツで政策を見て痛感…日本政府が「法治主義」を軽視しすぎという大問題

コロナ対策で浮き彫りに
横田 明美 プロフィール

横田 やがて、そうした規制の内容に合理的な根拠があるのかという議論になりました。たとえば4月には、売り場の面積が800平米以上の小売店は開けられないという規制が設けられました。そうすると、デパートは店内のごく一部の売り場しか開けられないけれど、ショッピングモールは小さな店舗の集積だから開けられるというきわめて不公平な事態になった。

それはさすがに不公平だということで、行政裁判所で訴訟が起きた。原告のすべてが勝ったわけではありませんが、たとえばベルリンのデパートについては、裁判所が開店を認める(規制の効力を停止する)仮の決定を出しました。そのあと、こうした訴訟の動きもあって、この規制は撤廃されました。

ドイツの特徴は、2020年3月27日の段階で、それまでほとんど権限を持っていなかった連邦保健省に権限を与えるために、議会が「全国規模流行状況の認定」をするという、大きな改正をしたことです。

メルケル首相〔PHOTO〕Gettyimages
 

さらに、州政府が出したもろもろの規制に法律によって一定の枠をはめられるようになるのは、11月17日の改正です。社会的距離の確保やマスクの着用義務など、法律で規制のカタログを作りました。ここで重要なのは、この法律の後ろに「こういう規制をするのであれば、こういうことに気をつけてください」と「条件」を書き込めるかたちにしたことです。その「条件」は、その後も国会の議論で順次付け加わっています。

だから法律が決まったあとも随時、国会の議論で「(権利)制限は必要だけれども、その『制限の制限』を決めましょう」と、議論を続けられている。法律で決めているからこそ、国会での議論が行われ、規制が行き過ぎないようにできているんです。

そのあとも、連邦の保健大臣に強力な命令を出せる権限を与える内容ですが、その権限が強いので、権限をもてる期間を一年間限りにして、さらに2021年にもコロナ危機が収まらなかったので、2021年3月に、これからは3ヵ月ごとの更新にしよう…といったことを決めたのです。その更新を決めるのはやはり議会です。権限の内容を最初に議会が精査し、しかも期間を区切り、そして更新についても議会が判断するという枠組みをこの時に作ったんですね。

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