ドイツで政策を見て痛感…日本政府が「法治主義」を軽視しすぎという大問題

コロナ対策で浮き彫りに
横田 明美 プロフィール

——なるほど、ありがとうございます。横田さんは「(政府が)要請や間接的な規制をとることで、公権力がなすべきことをせず、引き受けるべき責任を取らず、結果として公対民でやるべき議論や紛争が民対民になっている」ともツイートされています。このことの意味も教えていただけますか?

横田 政府が直接飲食店を規制する形をとれば、そのことによって消費者(飲食店の客)が飲食店を利用できないというかたちで不利益を被ったとしても、飲食店側は「政府が法律で決めたことなので」と断ることができる。なんなら、飲食店と客は政府を“共通の敵”にすることもできます。

しかし、それがお願いベースだと、「お願いだから従わなくてもいいだろう」という人たちが客側にも、店側にも出てきます。そうなると、要請に従うべきだと考える人たちが、飲食店に対して私的に圧力をかけるケースが出てくる。政府のお願いによって「民 対 民」の構図が作られてしまうことになるんです。

私が今暮らしているドイツでは、法律に基づく州政令でマスク着用が義務付けられた場所にマスクをしていない人がいてトラブルになることもありますが、その場合は警察がきて過料を科します。法律がきちんと定められているがゆえに、ある人がルールに従わないとしても、それについて「民 対 民」で争う必要がないんです。規制反対デモも多く行われていますが、それはあくまで政府に対してのものですからね。

 

ドイツの法改正

——ありがとうございます。法律による規定がゆるい日本に対して、ドイツではコロナウイルス対策について感染症予防法だけでも7回改正されているとうかがいました。ドイツがどのような経緯を辿ったか教えていただけますか?

横田 ドイツでもかなり無茶な規制の出し方をしているのですが、それでも、様々な規制や決定の権限について、足りないものは整備し、法律に細かく書き込もうという意向が強くみられます。

ドイツでは、2020年3月22日から厳しい規制が始まりました。この段階では、きちんとした法律があったというよりは、従来の規定を半ば強引に使って規制を始めてしまった…という印象です。ドイツは連邦制なので各州に首相がいるのですが、その首相が州政府の名において感染症の蔓延時に命令を出せるという内容の規定です。その法律の文面からそんな厳しい規制が出てくるとは誰も思っていないような内容がいきなり出てきたんですね。

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