ドイツで政策を見て痛感…日本政府が「法治主義」を軽視しすぎという大問題

コロナ対策で浮き彫りに
横田 明美 プロフィール

横田 さらに言えば、要請が発せられる「ルート」もおかしい。今回、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と並んで、国税庁酒税課が「酒類業中央団体連絡協議会各組合」宛てに要請をしたという話も出ていますよね。国税庁の本来の仕事である租税の徴収と関係のない今回のような事態において、要請をするような組織上の権限が国税庁にあるかどうか、はなはだ疑問です。

記事公開後、「財務省設置法第4条第19号、第19条からすれば、国税庁の所掌事務には「酒類業の健全な発達」が含まれる」とのご指摘をいただきました。そのため、上記段落は所掌事務に含まれないのではという誤解に基づいており、正しくありません。謹んで訂正します。ご指摘ありがとうございました(横田)

これに伴い、2頁目末尾の「NEXT」の文言も変更しました(編集部)【7月22日20:10】

これまで日本の行政では、「行政指導」——つまり、本来法律上の義務はないけれども、行政が要請を出すことで自発的に従ってもらうというやり方——は、よく使われる手法でした。もちろん、それでうまく回るケースもあり、そうであれば、行政コストの節約という観点からは評価できる場合もあるでしょう。しかし今回は、それによって引き起こされる事態を考えると目的と効果が釣り合っておらず、やりすぎと言わざるを得ません。

「法律で決める」ことには大きな意義があります。「法律で決める」というのは、その法律で実現することに、目的にかなった効果があるのか、本当にそういう仕組みを作ってもいいのか、という審査が入るということなんですよ。議論がなされ、文言が丁寧に修正され、法律になる(もちろんならない場合もあります)。

あるいは、法律で決めきれない場合には「詳しい内容は厚生労働省令で定める」といったかたちで、行政で決めたルールの内容を、法律で「支える」ことになるんです(これを委任立法、委任命令と言います)。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

先ほども触れた通り、たしかに、現場に近い行政において機動的に決められるという意味では、法律ではなく行政指導や委任命令にしておくことには意味がある。とはいえ、大枠は法律で決めた上で運用することにしないと、「白紙委任」になってしまいます。議会がスルーパスをするということであり、これは一番やってはいけないことです。

また、議論をしていれば、どんなことを想定して委任したかの背景もわかるので、委任の範囲を超えている運用がなされているときには、それがおかしいといいやすくなります。権利を制限する時には法律で決める、そのとき国会議員がきちんと議論をするという建前はきわめて大事だと思います。

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