写真提供:筆者
# 人生論

「生きるとは人の役に立つことだ」寝たきりの仲間たちが教えてくれた「人生の意味」

「孤独を解消する」ロボットを思いついたキッカケ

外出困難な方などが「もうひとつの体」として操縦する分身ロボットOriHimeを開発したオリィ研究所の吉藤オリィさん。彼は、「孤独の解消」を自身のミッションとしています。

オリィさんはもともと体が弱く、小学5年生の時の入院をきっかけに3年半学校に通えなくなりました。誰とも会わず、天井ばかりを眺め続けるひきこもりの日々。その時の経験から、テクノロジーの力で孤独を解消しようと決意します。

オリィさんは教室に行きたいのに行けなかった時、「どうして体は一つしかないのだろう」と考えていたといいます。複数体あれば行きたいところに行くことができ、孤独を解消できるに違いない。そんな思いから生まれたのが、分身ロボットのOriHimeです。

そして、重度障害などで外出困難な方がOriHimeを操縦し接客を行う「分身ロボットカフェ」の実証実験を2018年よりスタートさせ、今年6月から常設店をスタートさせました。ここでは自宅や病院などから遠隔で操作されたOriHimeが接客を行います。「寝たきりのその先」を見据えたオリィさんの構想について聞きました。

 

「生きる」とは誰かの役に立つこと

―なぜ、「分身ロボットカフェ」というOriHimeで働ける場を作ろうと考えたのですか。

寝たきりなどの外出困難な方、もう残された寿命が多くないという方に会う中で、「生きるとはなんでしょうか」という話をすることがありました。すると、多くの人が「生きるとは人の役に立つこと」だと回答したのです。

つまり、誰かの役に立ってこそ、「生きている」という実感が持てるし、「生きたい」とも思えるのです。逆にいうと、人は「迷惑をかけてまで生きていたくない」という思いを抱くということもわかりました。

2013年春、ALS (筋萎縮性側索硬化症)と診断されて4年目のヨーコさんに出会いました。自宅のベッドで寝たきりの状態でしたが、まだ話はでき、友人もたくさんおり、3人の子どもにも囲まれて気持ちよく笑っており、身体は動かなくとも豊かな生活を送っているように私には見えました。

私は彼女とOriHimeの操作の研究を一緒に進め、日々進化させることができましたが、それ以上の速度でヨーコさんの病気はどんどん進行していきました。ALSの症状は一度進行すると回復することはありません。いずれは、自発呼吸もできなくなります。ヨーコさんは呼吸ができなくなったとしても、呼吸器は装着しないという選択をしていました。そして、その年の秋を最後に私たちは会うことができなくなりました。

関連記事

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/