90年代に少女たちに一大ホラー漫画ブームを巻き起こした名作『不思議のたたりちゃん』をご存知だろうか。たたりちゃんは、その暗さゆえにイジメられてしまうが、優しい普通の女の子。でも、人の心の醜さに正義の怒りが燃えたとき「たたり」の嵐をまき起こし、いじめっ子に復讐をする。そのストーリーに多くの読者が夢中になった。

『不思議のたたりちゃん』の作者であり、無料漫画アプリ『Palcy(パルシィ)』で新作『鏡話』を連載中のホラー漫画家・犬木加奈子さんに、いじめや虐待といった社会問題や人間の姿を描き続ける理由を伺ったー

犬木加奈子プロフィール
1987年、講談社『少女フレンド』増刊『楳図かずお特集号』(講談社)にてデビュー。代表作に『不気田くん』、『不思議のたたりちゃん』、『口裂け女伝説』など。デビュー以来次々とホラー作品を発表し続け、独特の視点、独特の絵柄でカリスマ的人気を誇る伝説のホラー作家。

導かれてホラー漫画家になった

1987年のデビュー以来、『不思議のたたりちゃん』『不気田くん』などの代表作とともに90年代のホラー漫画ブームを生み出した犬木加奈子さん。ひと目見ただけで脳裏に刻まれる独特のタッチと人間の深層心理が反映された作風でカリスマ的人気を誇り、“ホラー漫画界の女王”として現在も精力的に作品を世に生み出している。

『不思議のたたりちゃん』/©️犬木加奈子『犬木加奈子の大恐怖』講談社
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ホラー漫画家としてのデビューは「導かれたようなもの」と犬木さんは振り返る。

「いわゆる怖い話は小さい頃から大好きで、怖いけれど聞かずにはいられなくて、よく祖母に『怖い話をして』とねだった記憶があります。漫画でいえば、楳図かずお先生の作品がすごく好きでした。漫画家になるという夢を抱きながらも、実際になれるのは特別な一握りの人だとわかっていたので普通に進学して就職。さりとて諦めきれずに同人誌を作り始めようとしたときに、『楳図先生の漫画がすごく好きだったなぁ』と子供の頃を思い出すことがあって、ホラーを描いてみたんです。その同人誌を読んで声をかけてくださったのが後に担当となる講談社の編集さんでした。今思えば、海のものとも山のものともわからない私によく声をかけてくださったなと思います。そのままいきなり漫画家デビューすることになり、さらには1年目で表紙まで任せていただけて、“導かれた”としか思えません」

鮮烈なデビューから1年後には、『サスペンス&ホラー』が創刊され、表紙はもちろん巻頭カラーや次号予告、その他挿絵まで一冊まるごと任されるように。いつしかホラーの女王とまでいわれるようになった犬木先生は、10年間以上5〜6誌の連載を抱えた状態で走り抜けることになる。