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一流ビジネスパーソンが、仕事に必要ない筋肉を積極的に鍛えるワケ

「方法論」より「目的論」(4)
問題を解決しようとがんばっているけれど、自分が少しかわいいゆえに、その場しのぎの決断を繰り返す――そうして本来の「目的」を見失い、「方法論」ばかりに目を向けるこの国のリーダーたち。一方、一流アスリートたちは、「なぜ?」「どうして?」を繰り返し掘り下げて、正しい戦略のもとに正しい努力を積み上げて成功を収めている。
スポーツアパレル「アンダーアーマー」の日本総代理店・株式会社ドーム代表取締役CEO・安田秀一著『「方法論」より「目的論」「それって意味ありますか」からはじめよう?』より注目の章を短期連載!

ビジネスエリートが身体を鍛える本当の理由は何か

ここからは具体的に、僕たちの世界の中で目的論がどのように機能しているのかを紹介していきましょう。

個人レベルにおける「目的」の機能を、みなさんに実感してもらえる最適な例といえば、一流ビジネスパーソンになればなるほど筋トレやランニングなどに夢中になっている、という事実ではないでしょうか。

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健康志向の高まりから、筋トレやランニングを行う人口は年々増えています。笹川スポーツ財団の調査では、ジョギング・ランニングの推計実施人口(年1回以上)は964万人(2018年)。コロナ禍の外出自粛による運動不足から、この人口はさらに増えていると見られています。

そんなトレーニング熱は、一流のビジネスパーソンになればなるほど高くなると言われています。僕の周りを見渡してみても、経営者などのビジネスエリートで、筋トレやランニングにハマっている人は非常に多いです。くわえて、みんな多忙にもかかわらず、チームを結成して共同でエクササイズをしたり、マラソンやトライアスロンの練習や大会に出場したりと、スポーツを生業にしている僕からみれば、本当にいい時代になったと思っています。

でも、ちょっと冷静に考えてみると、これは不思議な現象ではないでしょうか。ビジネスパーソンたちの多くは頭脳で仕事をしていますので、本来はそこまで過度に身体を鍛える必要はありません。ビジネスで結果を出すのに、割れた腹筋や厚い胸板も必要ありません。

ましてや、42.195キロで好タイムを叩き出すほどの走力を身につける必要など、どこにもないのです。もちろん、ボディビルやマラソンの大会に出場して記録向上を目指している人もいますが、そのように競技としてトレーニングやランニングをしている人はほんのひと握りです。多くの人はそこまでではなく、スポーツジムに通って黙々とウェイトトレーニングに励んだり、公園などでランニングをしたりしています

いったいなぜでしょうか。

一般的によく言われるのは、筋トレやランニングをすることで、ビジネスエリートとして必要不可欠なマネジメント能力が鍛えられるということです。ストイックに、そして継続的に自分の身体を鍛えることは、目標に向かって何をすべきかという計画の立案と、それを実行に移すことに他なりません。それを日常的に続けると、ビジネスパーソンとしてのスキルも向上していくというのです。

また、専門家の中には、科学的な観点から筋肉をつけることはビジネスの好成績に直結するという主張をする方もいます。

なぜなら、スポーツクラブに通って筋肉を鍛え、肉を食べれば、テストステロンというホルモンの値が上がって、判断力が向上するからです。このテストステロンについては、かねてからビジネスとの関係が指摘されていて、ケンブリッジ大学がトレーダーの運用成績とテストステロン値の高さの関連について調査したことがあるほどです。

これらの指摘にはちゃんとした根拠もあるので、まったく異論はありません。しかし、僕自身の経験では、それらに加えてもうひとつ大きな効果があると考えています。

 

それは目的を達成したことによる「自信」の獲得です。しかもルーティンとしてトレーニングに挑むわけですから、日々「目的」と「達成」を繰り返すことが可能になるのです。  

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