「スポーツが強固な絆を生む」阪神タイガースがウェールズになれないワケ

今こそ知りたい! 「方法論」より「目的論」(2)
安田 秀一 プロフィール

阪神タイガースとウェールズのラグビー

日本でも地域に根付き、地域の人々を熱狂させる代表的なチームがあります。プロ野球の阪神タイガースです。関西の人たちは、物心ついたころから、野球といえば阪神という環境で育っているので、阪神が勝った負けたで一喜一憂し、関西人同士であれば、挨拶代わりに阪神の調子が話題になることもしばしばです。そして、優勝したときには、地域全体が盛り上がり、関西圏に大きな経済効果をもたらします(久しぶりの優勝となった1985年や星野仙一さんが率いて優勝した2003年は、そのフィーバーぶりは本当にすごかったです)。

阪神タイガースのファン Photo by GettyImages
 

こうして見ると、関西の人々にとって、阪神は単なる地元の球団ということ以上の大きな存在だと言えるでしょう。ただ、少し厳しいことを言わせていただければ、ウェールズにおけるラグビーと比較すると、若干の物足りなさを感じるのも事実です。阪神も負けたときや優勝を逃したときに熱狂的なファンから罵声を浴びることもありますが、どちらかというと「負けてもよし」「仕方ないな」と温かく見守るという雰囲気であって、関西の人々にとっての阪神は「居場所としての安全欲求」を満たしているだけなのかもしれません

ですので、関西地区の大いなる復活のためにも、とくに球団の方や選手のみなさんには決して現状に満足することなく、「日本のプロ野球を阪神が変えるんだ」「阪神が関西地区の経済復活を牽引する」くらいの「承認欲求」や「社会的欲求」を持っていただきたいと、僭越ながら思っております。そうすれば、ウェールズにおけるラグビーのように、阪神タイガースが関西の人々にとって真に欠くことのできない、いま以上のより大きな存在となることができる、さらにいえば日本におけるスポーツのステイタスが大きく向上するのではないでしょうか。そして、スポーツの存在意義が高まることによって人々の結びつきが強まり、コミュニティが形成されていくという現象を目にするたび、これこそがマズローが言うところの「社会的欲求(所属と愛の欲求)」を求めた結果ではないかと感じます。

▽本記事は安田秀一著『「方法論」より「目的論」「それって意味ありますか?」からはじめよう』より、一部抜粋して構成されています(予約受付中)。
序章    「そもそも、それって意味あるんですか?」に立ち戻る
第一章    強烈な目的意識が「スーパー日本人」をつくる
第二章    なぜ一流のビジネスパーソンは筋トレやマラソンをするのか
~個人の目的論~
第三章    「なぜそれをやるのか」を知っているチームは強い
~組織の目的論~
第四章    「戦後復興フォーメーション」からの脱却
~日本の目的論~
第五章    「成功」よりも「幸せ」を選ぶ生き方 ~人生の目的論~
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