「親育」できるクラブに育つまで

では、大豆戸FCはなぜ親育(オヤイク)ができるほどのクラブに成長できたのだろうか。

2008年ごろ。怒鳴らず、指示命令せず、主体性を引き出す指導を当時から心がけていた末本さんたちスタッフは、大豆戸Cが抱える三つの欠点に気づいた。

1)卒団生が中学や高校で思うように伸びていない。
2)中学や高校でサッカーをやめてしまう子が多い。
3)在籍している子どもの身長が伸びない。

「ある公式戦に負けて、ピッチにひれ伏す姿に違和感を覚えた。目の前の試合も大事だが、この先への余白、伸びしろを残したやり方ができないだろうか? そんな状態を作っているのは、自分たちなんじゃないかと考えたのです」(末本さん)

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身長が伸びない点は運動のやりすぎだと感じた。適度な運動は成長を促すが、やり過ぎれば活性酸素が過剰になって成長発達を阻害する。
低身長は個人差はあるものの、運動のやりすぎや成長ホルモンが分泌する時間帯に睡眠をとれていないことが大きな原因だ。当時の12歳以下は、各学年ともAチームで年間150試合を消化していた。土日は一日中練習試合を組んだ。

「やればやっただけ、うまくなると勘違いをしていた」と振り返る末本さんは、スタッフ間で何度も話し合い、150を100試合以下に削った。試合をしないと強くならないのではないかと戸惑う保護者に対し「子どもの未来を育てましょう」と説得した。