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トップアスリートが「先の見えない不安」に勝つため常に意識しているコト

今こそ知りたい! 「方法論」より「目的論」(1)
問題を解決しようとがんばっているけれど、自分が少しかわいいゆえに、その場しのぎの決断を繰り返す――そうして本来の「目的」を見失い、「方法論」ばかりに目を向けるこの国のリーダーたち。一方、一流アスリートたちは、「なぜ?」「どうして?」を繰り返し掘り下げて、正しい戦略のもとに正しい努力を積み上げて成功を収めている。
スポーツアパレル「アンダーアーマー」の日本総代理店・株式会社ドーム代表取締役CEO・安田秀一著『「方法論」より「目的論」「それって意味ありますか?」からはじめよう』より注目の章を短期連載!

トップアスリートの強烈な目的意識

スポーツにさまざまな効能があることはもちろんですが、僕が中でも注目をしているのは、強烈な「目的意識」を育むことができるという力です。神様の存在を感じる場面もスポーツにはふんだんに盛り込まれています。

メージャーリーグで活躍中の大谷翔平選手 Photo by GettyImages

メジャーリーグの大谷翔平選手、ゴルフの松山英樹選手、テニスの錦織圭選手や大坂なおみ選手など、世界で活躍するトップアスリートたちの子ども時代のエピソードを耳にすると、非常に早い段階から「この練習にはどんな意味があるのだろう?」という思いを常に抱き、自分なりの上達方法を見出していった傾向が強いと思っています。僕自身、現役選手だった時、納得のいかない練習には必ずと言っていいほど「これってどんな意味があるのですか?」とコーチや先輩に確認しました。僕の時代はそんなことを聞けば「生意気だ!」といわれて、必ずや鉄拳制裁をくらいましたが……。その後のコーチ経験でも、いい選手であればあるほど、その練習の「目的」を確認しようとする傾向が強いと思っています

 

彼ら彼女らは、その練習の目的がわかればどんなつらいことでも乗り越えようと歯を食いしばります。でも、目的が曖昧であればボイコットも辞さないほどの強い目的意識を持っています。

こんな推察をする背景には、実際に多くのアスリートと僕自身がしてきた対話があります。目的意識という意味においては、日本のプロ野球、巨人の阿部慎之助さん(現・二軍監督)から聞いた、こんな言葉は非常に印象的でした。

「プロ野球選手になりたいと思って、この世界に入ってきたヤツはそもそもダメ。プロ野球で大活躍する、そんなイメージを持ってないと試合にも出れないよ。もっと言えば、○○チームで四番を打つとか、ホームラン王をとるとか、日本記録を塗りかえるとか、そんな具体的な目標を持った人間じゃないと成功しない

真の一流選手には、自分の中ですでに強烈な目的意識というものがあり、「プロ野球選手になる」という目標も、あくまでそれを達成する過程、すなわち「方法」に過ぎないというわけです。

たしかに、日本人トップアスリートたちの中にも、そのような自分だけの強烈な目的意識を、最高のパフォーマンスを引き出す原動力にしているのでは、と推察できる人物が何人かいます。たとえば、大坂なおみ選手は、黒人差別への抗議を意味するマスクに世界の注目を集めるという目的を掲げて、それをモチベーションにし、強敵を次々と倒して2020年、2度目の全米オープン優勝を果たしました。

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