「スイートテン」――10年目の結婚記念日を、ダイヤモンドのCMでそう意識するようになったのは、1990年くらいのことだという。人生100年時代となり、結婚する年齢も多様になった今では、10年という年月の意味は、その夫婦によって異なることだろう。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで夫の杉山陽一さんが行方不明となり、死亡宣告を受け入れた晴美さんにとって、その言葉はとても大きなものだった。

あの日を決して忘れない――その思いで、テロからの20年を綴っていく晴美さんの連載「あの日から20年」。前編「『空でお雑煮食べてるよ』アメリカ同時多発テロ・夫が行方不明のまま迎えた元旦の話」に続いて、陽一さんが行方不明のまま10年目の結婚記念日を迎えた2002年1月のことをお伝えする。食べることが大好きだったという杉山夫婦、結婚記念日はどのように過ごしていたのだろうか。そしてその日を、3歳と1歳の息子、そしてお腹の中の子と迎えた晴美さんは、どのようにすごしたのだろうか。

この日が、多くの人の人生を一変させた Photo by Getty Images
-AD-

まぼろしの10年目の結婚記念日

【1月18日】

今日は、わたしたち夫婦の満10年の結婚記念日。昔、テレビで、誰かが言っていた。結婚、まずは、10年辛抱してみるもんだ。10年もてば、後はなんとかなるものだ、と。

この言葉からは、結婚とは辛抱するもの。他人と一緒に暮らしていくことの難しさのようなものが伝わってくるが、実際はどのようなものであったろう?

自分たちの10年を振り返ってみると、辛抱していたことも事実。けれど、楽しかったのも事実。単純なものではない。10年だけではわからない。結婚とは、夫婦とはどんなものか? もっともっと先にいかなければ、どういうものかなど、わたしには語れない。やはりすべてはこれからだった気がしてならない。

あの9月11日に、突然はさみでちょん切られたように、わたしたち夫婦の生活は消えてしまった。わたしたちは、まだまだ「ひよっこ夫婦」のまま、瞬間冷凍されてしまった。ほんとうの夫婦になる前に、成長できないまま凍りついてしまった。そんな気分だ。