セカンドレイプを防ぐための「4択」

さて、『17歳の瞳に映る世界』の原題、『Never Rarely Sometimes Always』には非常に大きな意味が隠されている。これはオータムが中絶手術の前に、カウンセラーから過去の性的経験について聞かれる質問に対する4択の回答で、「暴力を振るわれたことは?」「無理やり性行為をされたことは?」などの質問に答えるためのものだ。

Never(一度も~ない)
Rarely(滅多に~ない)
Sometimes(時々~だ)
Always(いつも~だ)

筆者も「プランド・ペアレントフッド」でこのような質問を受けたことがある。当事者が答えやすいようにと意図的に4択にされているのは、「性暴力の被害者に無理やり詳細を語らせることはセカンドレイプである」という意識が浸透しているからだ。

オータムが4択から答えを選んでいくうちに、彼女が心のなかで抑圧していたものと向き合い、必死で戦い、受け入れる。過剰な演出もセリフもない、たった数分間のシークエンスなのに、その切実さに観客は思わず息を呑み、オータムの強さに勇気づけられるのだ。このオータムの心の動きを感じるだけでも、本作を観る価値があるだろう。

『17歳の瞳に映る世界』より

しかも、この場面のカウンセラーを演じているのは役者ではなく、「チョイシズ女性医療センター」で実際に働くソーシャルワーカーだという。本作がノスタルジックなティーンのロードムービーで終わらない点は、こういったディテールにリアリティが加えられているからだろう。

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“小さな性暴力”に慣れてしまっていないか

若い女性を取り巻く性暴力を浮き彫りにするのは、このシーンだけではない。バイト先、家庭、学校、長距離バス、地下鉄で、オータムとスカイラーは常に男性の“性的目線”にさらされる。彼女たちの瞳を通してそれらを追体験することによって、筆者は自分が過去に経験した性的な嫌がらせを思い出し、そういった“小さな性暴力”にすっかり“慣れてしまった”大人の自分に気がついた