若い女性たちを苦しめる「中絶制限法」

例えば、オータムとスカイラーが住むペンシルべニアには厳しい中絶制限法があり、中絶クリニックの数は2014年から2017年にかけて10%も減少しているという。中絶クリニックへのアクセスがなくなると、一番困るのは貧しく若い女性たちだ(※1)。公的助成金を受けた「プランド・ペアレントフッド」のような医療施設では貧困者や未成年を支える様々な助成金があり、支援を必要とする女性は無償に近いかたちで中絶が受けられる。

『17歳の瞳に映る世界』より

また、ペンシルベニアの中絶制限法は、未成年者の中絶に保護者の署名を必要としているが、貧困層の女性のなかには、親から虐待やネグレクトを受けている人が少なくない。だから、スカイラーはオータムのためにバイト先で受けるセクハラを我慢して、親の許可なく中絶できるニューヨーク州への旅費や中絶費用をなんとか捻出しようとするのだ。

『17歳の瞳に映る世界』より
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中絶クリニックが減少している州が増えている一方、民主党派の多いリベラルなニューヨークでは、2014年から2017年にかけて中絶クリニックが19%も増えている。こうやって、アメリカの「保守 vs リベラル」の対立は、女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツに分断や不平等を生み出しているのである(※2)

エリザ・ヒットマン監督も米サイト「The Playlist」のインタビューで、映画のテーマを次のように訴える。

「この映画は、女性が自分の体に対して力を持っていないこと、男性が作った目に見えない障害に阻まれていること、そして、障害を乗り越えようとする女性の強い力について描いています。また、女性の生殖の医療が、女性ではなく男性に決められている現状にも焦点を当てたかったのです