提供:環境省

私たちの一日は「今日なに着よう?」から始まります。気分を高めてくれたり、自信を与えてくれたり……その日のモチベーションにつながるファッション。しかしながら、大量生産、大量消費、大量廃棄のほかに、生産者の人権や労働環境など、環境面だけでなく大きな社会課題を抱えているのも事実です。

そんなファッション産業をサステナブルなものへと変換を支援する環境省は、ファッション産業の現状をアップデートし、次世代につなぐ活動に力を入れています。その一環として、小泉進次郎環境大臣と、創業当初から「生活者、社会の役に立つこと」を軸に、さまざまな取り組みを実践する良品計画の代表取締役である金井政明会長の対談が実現! 

国と企業、それぞれの視点から「サステナブルなファッションの未来」に向けて、行動変容のヒントにつながるお話を伺いました。

ファッション産業が、持続可能な消費社会をつくる可能性

——衣類の生産時における原料調達や水質汚染問題など、ファッションを取り巻く課題はたくさんありますが、とくに小泉大臣が課題に感じていることは何でしょうか?

小泉大臣 正直なところ、課題よりも可能性を感じています。アパレル企業、ファッション産業に関わるプレイヤーのみなさんが持つ「(この現状を)なんとか変えたい!」という意思から、「この分野は間違いなく変わる」という可能性を感じますね。なぜなら、そこに主体性がありますから。

課題を挙げるならば、やはりサプライチェーンおいて、生産からお客さまの手に渡るまで、すべてをトラッキングすることの難しさ。そこには、かなり多くの人が関わってくるため、環境省だけでなく、経産省をはじめ、さまざまな機関とつながなければいけないと感じています。

金井会長 新型コロナの存在も、ファッション産業に大きなインパクトを与えましたよね。結果として、成熟、あるいは変わっていく大きなチャンスだと考えています。

小泉大臣 「無印良品」は、不要な衣料品を回収しリサイクルしたり、残糸を軍手にしたりと、国が先導して動く前からそのような取り組みをされていますよね。これからは、今まで「無印良品」がしてきたことを、当たり前のようにする世の中になる。ようやく時代が「無印良品」に追いついてきたのではないでしょうか。

「無印良品」以外でも、服の回収ボックスを設置する店が増えてきていますね。先日、不要な服が新しい服に生まれ変わる取り組みを行うデパートの売り場で、息子の服を買いましたが、息子やさらに次の世代の人たちは、新しい原料を使わずにつくられた服を着る、服のサブスクが主流になる、そんな時代が本格的に来たなと感じましたね。

東京有明店では、不要になった衣類・布製品で再使用できるもの(加工せず再び身につけられるもの)を回収するボックスを設置。「処理に困るようなものづくりの仕方はやめたほうがいいですね」(金井会長)「デザインから、環境配慮の設計をするということですよね」(小泉大臣)

金井会長 「無印良品」は、消費社会へのアンチテーゼとして生まれました。「人間の振る舞いとして、望ましい生活とは何か?」を、探求することを起点に始まった事業ですので、常に先頭を走っていたいですね。

私たちは、匂いも何も出さない“基本の服”をつくりたい。個性も何もない天然素材でジャブジャブ洗えるものをつくりたいんです。そこへ自分らしいものを合わせてもらえたら。ちなみに弊社では「男性ですか?」「女性ですか?」という問いに、「いいえ、人間です」と答えるんです。男や女という概念もなくていいかもしれない。その辺りももっと自由になればいいですね。ファッションは文化でもありますので。そろそろコンチネンタルスタイルに憧れる時代から、新しい時代をつくっていけたらと思います。

小泉大臣 新しい経済社会をつくるという点において、ファッション産業は取り組みやすい現状があるんですよね。ファストファッションがすごく盛り上がり、シーズンごとにどんどん新しい服が生産され、買った人はワンシーズン着たら終わり……。商品数は増えているのに、企業の利益は減っているんです。大量生産・大量消費・大量廃棄を代表するこれまでのビジネスモデルでは儲からなくなってきた業界の一つがファッション産業なんです。

このままでは持続的な繁栄がないことはデータで示されています。ほかにも課題はいっぱいありますが「変わらなきゃ」と思います。そして同じ思いを抱くプレイヤーが業界にたくさん出てきたのは大きいですね。

金井会長 良品計画には、個店経営という概念があり、エッセンシャルワーカーをエッセンシャルプレイヤーにしていく社会が必要だと感じています。

ファッションでもインテリアでも、「無印良品」は基本的な成熟度に対応したものを持っています。そのうえで個店のみなさんが自身で考え、本当に良いと思うものをお客さまに薦める。また、文化的かつ個性を持つものを自分たちでつくるなど、多様なものがいっぱい出てくる。それは、チェーンオペレーションではやっていけない世界であり、福祉や介護、引越し業者でも同じです。みんながエッセンシャルプレイヤーになれる社会をぜひつくりたいですね。