俳優の三浦春馬さんが急逝して1年になる。ボイストレーナーとして7年、春馬さんを支えた斉藤かおるさんは、「いまだ傷が癒えず、答えを探し求めるファンの方に、寄り添うようなメッセージが届けられたら、私も結果的に癒されるかもしれない」と取材に応じてくださった。うかがった大事なエピソードを4回にわたって紹介する。第1回2回ではでは春馬さんとの出会いから、ミュージカルのローラ役の特訓、師として、友として春馬さんと過ごした日常について紹介した。第3回は、ボイトレして臨んだラストシングルや、斉藤さんが勧めた歌手活動、春馬さんがつけていたノートについて語る。春馬さんと斉藤さんは、「未来の話」をたくさんしたという。

斉藤かおるさんのレッスン場で、春馬さんがいつも座っていた椅子 写真提供/斉藤かおる
斉藤かおる ボイストレーナー・ボイスペダゴーグ。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。子供の頃から童謡歌手として活躍。NHK教育番組の「うたのおねえさん」を務めた。その後、発声に特化した指導をスタート。歌だけではなく、声に関することならどんなことでも指導する。生徒の9割は、俳優や歌手などのプロだという。

Mステの準備をしていた

昨年7月7日。斉藤さんは、春馬さんと最後のやりとりをした。2枚目のシングル「Night Diver(ナイトダイバー)」についてだった。ミュージックビデオの公開や、テレビ出演を控えていた。のちにナイトダイバーは、動画再生が5000万回を超え、25万枚売れてプラチナディスクに認定された。

出典/youtube 斉藤さんはこのMVを見て、どれだけ春馬さんが個人でもレッスンしたかを実感し、胸がつまったというA-Sketch MUSIC LABEL

「6月の最後のレッスン後に、課題を出していました。少し先に、ナイトダイバーのプロモートがあり、みんなの前での初ライブも予定されていたので。ナイトダイバーは、繊細なリズムやグルーヴのニュアンスをしっかり出せるように練習しました。

1枚目のシングル曲も、激しく踊りながら、歌いづらかったと思います。ものすごい高音で、ミュージカルで歌う以上のスキルがいりました。実は、その曲をテレビで披露した時、生歌で踊るのが難しくて、失敗してしまったと春馬くんから聞いていました。

ナイトダイバーも、ダンスが印象的な楽曲です。ミュージックステーションの出演を控えていて、そのサポートについても伝えました。ダンスの振り付けによって、注意点があるので、どういう振り付けになるか教えてと聞きました。

音楽番組の場合、朝に会場に入ってリハーサルし、しばらく本番まで間があいて、ドラマの現場に行ってまた本番の時間に戻る、ということもあります。そうなったら、合間に私のレッスン場で声を出して、調整してもいいよと話していました。専業の歌手ならそこまでサポートしなくても大丈夫ですが、春馬くんは俳優なので」