オーラを消すと気づかれなかった

7年間、一緒に過ごした斉藤さんは、素顔の春馬さんを知っていた。
 
「春馬くんは私の前では、普通の人。映像で見るとキラキラしているけれど、会うと年相応の学生さんみたいで、シンプルな飾らない服が好きでした。誘ったり誘われたり、時間があれば一緒に舞台を見に行きました。そうしたお出かけの時は、春馬くんはちゃんとおしゃれしていました。ジャケットを着て、キャップもかぶらない。劇場に行くとき、ドレスアップして一緒にいると、みんなに気づかれます。
 
それ以外の春馬くんは、キャップをかぶると全くわかりません。観劇の後、次の用事までの間に歌の練習をしたいと誘われて、カラオケ店に行くと、キャップをかぶった春馬くんは、店員さんにも気づかれないぐらいでした。
 
春馬くんは、普段の移動はバスや電車、自転車、徒歩でした。車も持っているし、マネージャーさんの送迎もありますけれど、日常はごく普通の人でした」

-AD-

お茶を飲みながらおしゃべり

レッスンの前後には、お茶を飲みながら、おしゃべりした。
 
「春馬くんは、コーヒーが好きで、ミルをガラガラ回して、豆を挽いてくれました。コーヒー豆は、たまに出先で一緒に買いました。以前は来ると同時に、『先生、お茶ちょうだい!』と言われることもあり、私が毎朝、用意しているポットとカップ、紅茶のセットをドンと渡して、飲み放題にしていました」

斉藤さんのレッスン場で春馬さんも一緒にコーヒーを飲んでいた。春馬さん用の紅茶セットも 写真提供/斉藤かおる

春馬さんは、斉藤さんのレッスン室に置いてあるアンティークのグッズやカメラを手に取りながら、想像を膨らませた。
 
「万華鏡は、よくのぞいていました。楽屋用のヘアブラシは、イギリスのお金持ちが使っていた凝った細工で、『ローラも、気分が上がる、こういうものに憧れたんじゃない?』と話しました。古いオペラグラスは、昔の観劇で使っていたよねって。純銀製のアンティークのメモ刺しは、杉村春子賞受賞のごほうびにプレゼントしました。
 
春馬くんはデジタルのライカを持っていて、現場でよく撮っていました。望遠レンズで撮ってみたい、モノクロで現像したいって言って。『春馬くんのデジカメに、私のシネレンズをつけて撮れるよ』と勧め、あれもやりたいこれもやりたい、とワクワクしながら話していました」

撮影/なかのかおり
撮影/なかのかおり
撮影/なかのかおり

昨春の緊急事態宣言前後の自粛期間は、これまでにないぐらい頻繁に、レッスンをしたという。
 
「春馬くんが出演したミュージカルは途中で終わってしまい、事務所もクローズ。英語劇や殺陣の稽古をして、私のところにも、週2日は来ていました。
 
声色を、映像作品にどうやって生かすか、丁寧に復習しました。レッスンの後は、近所のなじみのお店を開けてもらって、ご飯を食べました。レッスンの合間には、私が作った甘夏ピールや、お菓子を食べてお茶を飲みながら、いろんな話をしました」

斉藤さん手作りの甘夏ピールもよく食べていた 撮影/なかのかおり